【東南アジアあるある】通関編

2021年6月12日

東南アジアに住んでいると、驚くことがしばしば起こります。

それは物流の現場でも同じです。

そのような東南アジアあるあるを紹介します。

今回は通関編です。

 

税関員は神様です

税関で行われる通関には2つの目的があります。

禁止・制限品のチェックと、関税徴収です。

 

禁止品は麻薬や武器などですので、輸入を止められても税関に文句の付けようがありません。

ところが制限品には食品や中古品など色々なものが含まれますので、税関や関係省庁の裁量で操作の余地が出てきます。

関税額についても、税関員の裁量は大きくなります。

実際のところ、輸送コストより関税の方がはるかに金額が大きい場合が多いため、税関員を敵に回すと大変苦労することになります。

 

日本の税関はその点、公正です。

税関員に嫌われたって、ちゃんとやってくれます。

また、通関士に通関代行手数料を支払いますが、税関のサービス自体は無料の公共サービスです。

 

東南アジアでは人によって通関知識にばらつきがあったり、知識はあるが故意に関税額を吊り上げようとする人もいたりします。

彼らにもノルマがあるのです。

 

また、税関は無料のサービスではありません。

お金を払わないと、いつまでも順番待ちの最後尾です。

しかもご丁寧に料金相場まで示しています。

でも料金表はどこにも発表されていませんし、領収書もくれません。

 

通常、1件の通関を終わらせるのに、通関士は税関の部屋を何か所も回って承認のサインをもらいます。

そして、そのたびに支払いが発生します。

 

しかし通関士の顔が知れてきて、税関員の信頼を獲得できれば、料金後払いの特権を与えてもらえます。

そのために通関士はいつもニコニコして税関員のご機嫌を取らないといけません。

税関員は神様なのです。

 

でも、そんな税関員も本当は生身の人間ですから、たまには過ちを犯します。

通関士はおかしいと思っても、神様には逆らえません。

生意気なことを言ってご機嫌を損なうようなことがあっては、それまで築き上げてきた信頼が水の泡になってしまうからです。

 

そんな時には、税関員を神様だとは思っていない日本人に相談が来ます。

そして間違っていると主張できる十分な書類を用意した上で、通関士と一緒に税関にお伺いに上がります。

そして、順番が来て税関員の部屋に入る時には、通関士は外で待ちます。

過ちを指摘されて神様が神様でなくなる瞬間を見るのは、神様に対して失礼だからです。

 

大抵はそこで問題が解決するのですが、たまに解決しないこともあります。

そのような時は、神様の神様にお伺いを立てます。

東南アジア諸国には、日本から税関員がアドバイザーとして駐在している国があります。

そのような国では、アドバイザーは神様の神様に当たります。

アドバイザーの理解を得られれば、税関の上層部経由で税関員に連絡が行き、問題はすぐに解決します。

本当にありがたい存在です。

 

汚職防止局

先ほど、ちゃんとお金を払わないと、いつまでも順番待ちの最後尾にされてしまうと書きました。

実はこの国には、そのようなことをちゃんと取り締まってくれる省庁が存在します。

その名も汚職防止局

 

この機関には国から絶大な権限を与えられていて、さずがの税関員も逆らえません。

そして、我々のような民間から依頼が来ると、ちゃんと取り締まってくれます。

汚職防止局の職員が、税関の部屋に駐在して不正がないか見張ってくれるのです。

そうすると、お金を払わなくても、ちゃんと順番通りに処理して貰えるようになります。

さすがです。

 

でも残念なのは、1日しか駐在してくれないことです。

そして、次の日からは、再び最後尾に回されてしまうのです。

再度、汚職防止局に駐在をお願いすると、税関員はさっさとサービスしてくれるのですが、次の日からはまた元の木阿弥です。

 

実際これは簡単ではない問題で、解決には年単位の時間が必要でした。

我々日本企業は、異国の地でビジネスをさせていただいている立場です。

その国ではその国のしきたりに従う義務があります。

嫌なら撤退すればいいでしょ?ということです。

華やかに見える国際物流の世界、裏ではドロドロした現実がまだまだあるのです。

 

国境越えのあるある

税関と関わるのは、物流だけではありません。

空港などで入出国審査をするのも税関の役割です。

 

日本は島国ですから、入出国審査は空港か港に限られますが、東南アジアでは陸路の国境にもあります。

そして、国境によって、またもや税関員の裁量が働きます。

国境ごとにしきたりがあるのです。

 

ある国に入国する場合、ノービザで15日間滞在可能なら、お金を払う必要はありませんよね。

ところが国境によっては、入国審査に常に長蛇の列ができている所があります。

そういう所で並んでいると、大抵男が近づいて取引を持ち掛けられます。

5ドル払えば、すぐに入国できるぜ

 

そこで断っても、余りにも順番が回ってこないので、大抵の人は結局払ってしまいます。

支払うと、その男はいそいそと税関員の所へ行き、1分もしないうちにこちらに目配せをして

すぐに来い

と目で訴えます。

 

東南アジアの税関は伏魔殿なのです。