【正規分布の掛け算】具体例を使ってエクセルでわかりやすく解説

2021年8月31日

ベイズの定理では、新しく得られたデータ(尤度)で古い確率(事前確率)を更新することによって、新しい確率(事後確率)を計算します。

事後確率=事前確率×尤度

>> 「ベイズの定理」の使い方を具体例を使ってわかりやすく解説【初心者向け】

 

このように、事前確率の確率分布に尤度の確率分布を掛け算することで、確率分布が更新されます。

確率分布が二項分布の場合の例は、前回の記事(【ベイズ推定】具体例を使ってわかりやすく実演!|高校野球の勝率を予測)で紹介しました。

 

しかし、二項分布では2つに1つのことが起こる現象しか扱うことができません。

これを正規分布にまで拡張できれば、もっと多くの現象に応用範囲が広がりそうです。

そこで、正規分布の掛け算について見ていきましょう。

 

正規分布の式

正規分布は下図のような平均μを頂点とする釣鐘状の分布です。

 

これを式で書くと次のようになります。

この関数f(x)のことを確率密度関数と呼びます。

なぜ確率分布でなく確率密度なのかと言うと、縦軸の値がそのまま確率となるのではなく、グラフの下側の面積が確率になるためです。

数学的に言うと、f(x)は確率ではなく、f(x)を積分した値が確率になります。

 

2つの正規分布を掛け算するということは、2つのf(x)の掛け算を計算するということです。

 

2つの正規分布の積

次のような2つの正規分布があるとします。

平均=40、標準偏差=5

f1(x) = 1 / 5√2π×exp [-1/2×{(x – 40)/5}2]

 

平均=60、標準偏差=10

f2(x) = 1 / 10√2π×exp [-1/2×{(x – 60)/10}2]

 

これらを掛け算してみましょう。

指数関数の掛け算は、

ax×ay=a(x+y)

となることを知っていれば簡単です。

 

f1(x)×f2(x)

= f12(x)

= 1 / 5√2π×exp [-1/2×{(x – 40)/5}2]× 1 / 10√2π×exp [-1/2×{(x – 60)/10}2]

= 1 / 100π×exp [-1/2×{(x – 40)/5}2 -1/2×{(x – 60)/10}2]

 

これら3つの関数f1(x)f2(x)f12(x)をエクセルを使ってグラフにしてみましょう。

複雑な式に見えますが、平方根Exp指数関数などの関数はエクセルに用意されていますので、一つひとつ計算していけば難しくありません。

下記最後の列では、f12(x)を積分した値が1になるように調整しています。

これを正規化と言います。

 

このように計算シートを作ってから赤で囲んだ箇所をグラフにすると次のようになります。

 

2つの正規分布を掛け算してできた正規分布は、山の頂点が元の2つの頂点の真ん中よりに移動し、標準偏差が小さくなっているように見えます。

 

積の平均と標準偏差

このように2つの正規分布の掛け算はそれほど難しくありませんので、正規分布でもベイズの定理を使えそうですね。

しかし、掛け算してできた正規分布の平均標準偏差を簡単に計算できる方法があれば助かります。

それは先人の知恵により次のように知られています。

 

正規分布f1(x)の平均がμ1、標準偏差がσ1、正規分布f2(x)の平均がμ2、標準偏差がσ2の場合、それらを掛け算してできた正規分布f12(x)の平均はμ12は、

μ12 = {(μ1/σ12)+(μ2/σ22)} / {( 1 /σ12)+(1 /σ22)}

分散σ122は、

σ122= 1 / {( 1 /σ12)+(1 /σ22)}

 

この式を先ほどの例で確かめてみましょう。

μ12 = {(40/52)+(60/102)} / {( 1 /52)+(1 /102)} = 44

σ122 = 1 / {( 1 /52)+(1 /102)} = 4

となります。

グラフを見ると合っていそうな感じですね。

 

まとめ

正規分布は指数関数で表されますので、正規分布同士の掛け算は簡単です。

指数部分を足せばよいからです。

掛け算の結果できた分布も正規分布になり、平均μや標準偏差σの計算方法も知られています。

これでベイズの定理を正規分布にも応用できそうです。

>> 【正規分布のベイズ推定】具体例でわかりやすく解説!|最強打者の打率を予測する