マスターB/LやハウスB/Lのプリペイドとコレクトはどうやって決まるのか?

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プリペイド=元払い、コレクト=着払い

宅配便の支払い方法に元払い着払いがあるように、海上輸送や航空輸送のフォワーディングでも元払いと着払いがあります。

ただ、こちらは英語表記が基本となっているため、元払いのことをプリペイド(Prepaid、着払いのことをコレクト(Collectと呼びます。

日本から中国への輸出なら、プリペイドの場合はフォワーダーの日本の事務所に運送料を支払い、コレクトの場合は中国の事務所へ支払います。

 

支払い条件は4種類

でも前回の記事(マスターB/L、ハウスB/L、ダイレクトB/Lの違いと見分け方について解説)にも出てきたように、フォワーダーの運送契約には2種類ありましたね。

  1. 船社との運送契約(仕入れ):マスターB/Lによる
  2. 荷主との運送契約(販売):ハウスB/Lによる

 

ですので、支払い条件の組み合わせは次の4種類あります。

  1. マスタープリペイド/ハウスプリペイド
  2. マスターコレクト/ハウスコレクト
  3. マスタープリペイド/ハウスコレクト
  4. マスターコレクト/ハウスプリペイド

 

これらの支払い条件は、誰がどうやって決めているのでしょうか?

 

ハウスB/Lの支払い条件はインコタームズで決まる

インコタームズとは?

インコタームズとは、国際貿易における売り手と買い手の責任分担を定めた定義のことです。

例えば、

売り手は積み地で輸出通関して貨物を船に載せるところまで払ってね。後は買い手で払うから

というのは、運賃負担についての責任分担を定めています。

また、

積み地で輸出通関して貨物を船に載せるまでに貨物が壊れたら売り手の責任ね。後は買い手の責任

というのは、危険負担についての責任分担を定めています。

このように、インコタームズは運賃負担と危険負担についての責任分担を定めています。

 

運賃には海上運賃の他にも、国内トラック運賃や通関費用や港湾費用など沢山の費用項目があり、危険負担の境界線もいろいろあるので、売り手と買い手が売買契約の度にいちいち決めて契約書に記載するのは面倒です。

ですので、予め10種類くらいのインコタームズを定義しておいて、その中から選べるようにしているのです。

このインコタームズは国際商業会議所 (International Chamber of Commerce: ICC)という機関で決めていて、10年に1度、時代の趨勢に合わせて改訂しています。

 

FOB=コレクト、CFR/CIF=プリペイド

インコタームズには10種類くらいありますが、よく使われるのはFOBCFRCIFの3つです。

ネットに沢山解説が出ているので詳細はそちらを見ていただくとして、簡単にいうと

FOB:買い手が海上運賃(または航空運賃)を払う

CFR/CIF:売り手が海上運賃(または航空運賃)を払う

 

ということです。

海上運賃はハウスB/Lを発行してくれるフォワーダーに支払いますので、買い手が払う場合には揚げ地(輸入国)のフォワーダー事務所に、売り手が払う場合には積み地(輸出国)のフォワーダー事務所に支払います。

従ってインコタームズがFOBの場合には自動的にコレクトCFRやCIFの場合はプリペイドになります。

 

マスターB/Lの支払い条件はフォワーダー次第

基本はハウスB/Lの支払い条件に合わせる

仮にインコタームズがCIFだったとしましょう。

先述したように、ハウスB/Lの支払い条件は自動的にプリペイドになります。

ではマスターB/Lの支払い条件を決めるのは誰でしょうか?

マスターB/Lはフォワーダーと船社の間の運送契約ですから、この2社の合意で決めますね。

ところが、フォワーダーも船社も国際企業ですから、積み地国と揚げ地国でそれぞれ別法人になっているケースが多くあります。

従って、実際には4社の中でどこからどこに支払うかを決めます。

 

CIFの場合、一番簡単な支払いフローは次の通りです。

 

CIFにおいては、荷主からは輸入国で海上運賃を支払ってもらいますので、船社への支払いも輸入国でできればフォワーダーとしては一番簡単ですね。

この場合はマスターB/Lの支払いはコレクトになります。

これがマスターコレクト/ハウスコレクトで、一番オーソドックスなやり方です。

 

仕入れ交渉力が強い国で支払うケース

しかし、次のようにマスタープリペイド/ハウスコレクトの時もあります。

 

このやり方が採用されるのは、フォワーダーのA国法人の取扱量がB国に比べて格段に多く、有利な価格で船社からスペースを仕入れられる場合です。

フォワーダーのA国法人とB国法人間で海外送金が発生しますが、実際には2法人間で債権・債務をネッティング(差金決済)できることが多く、その場合、帳簿上の付け替えだけで済んでしまうため送金手数料も問題になりません。

また海上運賃は米ドル建てですので、為替差損もありません。

ですので、このようなケースも結構あります。

 

積み地国法人がコレクトの支払いをするケース

更に、次のようなケースもあります。

 

これは表向き最初のマスターコレクト/ハウスコレクトと同じですが、マスターコレクト料金をフォワーダーの積み地国法人が支払う点が異なります。

なぜこんな面倒なことをするのかというと、船社への支払いを積み地国法人に統一することによって、社内でのシップメントごと、もしくは荷主ごとの損益管理を簡素化したい狙いがあるためです。

これについては別途記事にする予定です。

 

まとめ

フォワーダーにおける海上運賃の支払い条件には、次の4種類があります。

  1. マスタープリペイド/ハウスプリペイド
  2. マスターコレクト/ハウスコレクト
  3. マスタープリペイド/ハウスコレクト
  4. マスターコレクト/ハウスプリペイド

 

ハウスB/Lの支払い条件は、荷主の売買契約におけるインコタームズで決まります。

FOB=ハウスコレクト

CFR or CIF=ハウスプリペイド

 

マスターB/Lの支払い条件は、フォワーダーの各国法人のバイイングパワーの強さや、社内における損益管理の事情により決まる場合もありますが、基本はハウスB/Lの支払い条件に合わせます