【物流担当者必見!】三期制の保管料はこんなに損!?アプリで簡単シミュレーション
「日本の保管料は三期制で一期(十日間)当たり280円/CBM、タイでは一日当たり30円/CBM。一日当たりで比較するとタイの方が高いじゃないか!」
「物流会社から一日当たり30円/CBMの保管料を、一週間当たり180円/CBMに変更したいと提案された。一日当たりで比較すると安くなった。ラッキー!」
そんな勘違いをしないように、一目で損得がわかるアプリを作りました。
これで荷主の皆さんは物流業者の作戦に騙されなくなります。
逆に物流業者の皆さんは荷主を出し抜く知恵を得ることができます。
アプリはこちらです。
本記事ではこのアプリの使い方を解説します。
保管料の基本的な計算方法
保管料が一日単位であっても十日単位(三期制)であっても、共通する考え方は次の通りです。
保管料=(期末在庫数+期中入庫数)×保管料単価
ここで「期」というのは一日単位であれば一日、三期制であれば十日です。
一日単位であれば「期末在庫数」は前日23:59時点の在庫数のことで、「期中入庫数」はその日に入庫された個数のことです。
よくある勘違いは
保管料=(期末在庫数+期中入庫数-期中出庫数)×保管料単価
のように、出庫数を引いてしまうことです。
しかしこれは間違いで、出庫数は保管料の計算に関係ありません。
その理由は【倉庫保管料の考え方】なぜ保管料の計算に出庫量は関係しないのか?でわかりやすく解説しています。
保管料の単価設定にはいろいろある
「期」の設定の仕方にはいろいろな種類があります。
よくあるのは一日、一週間、十日、十五日です。
十日の場合は三期制、十五日の場合は二期制と呼ばれ、日本で多く採用されています。
海外では一日単位や一週間単位が多く、一週間単位の場合を本記事では四期制と呼ぶことにします。
この「期」は長くなるほど保管料は確実に高くなります。
例えば日単位制(一日単位)の場合と三期制(十日単位)の場合で比べてみると、1日目に100個出庫されると2日目から10日目までの在庫は100個減りますが、三期制の場合は10日間すべて在庫が減らないためです。
ではどれくらい高くなるのか?
それは入出庫の特性によって全く異なってきます。
3期制保管料の計算方法。仕組みを理解すれば保管料を削減する方策がわかる。
ひとつ確実に言えることは、在庫回転数が高い(入出庫の頻度が高い)ほど長い「期」の保管料はどんどん高くなるということです。
試しに日単位制と三期制を比べてみる
どれくらい高くなるかは入出庫の特性により異なりますが、下記のような入出庫があった場合に日単位制と三期制でどれくらい保管料に差が出るかを計算してみましょう。
一日当たりの保管料を30円/CBM、十日間当たりの保管料を300円/CBMとしています。
三期制は倍以上も高くなることがわかります。
ここで本記事の冒頭の例を思い出してみましょう。
「日本の保管料は三期制で一期(十日間)当たり280円/CBM、タイでは一日当たり30円/CBM。一日当たりで比較するとタイの方が高いじゃないか!」
もしこの会社の入出庫特性が先ほどの例のようだった場合、三期制で十日間当たり280円/CBMの料金は、日単位制では一日当たり56円/CBMくらいの料金に相当することになります。
タイの物流会社から提示された一日当たり30円/CBMの料金は「格安」だったわけです。
(しかし実際にはもっと長期間のシミュレーションを行う必要はあります)
アプリの使い方
このアプリは一ヶ月間の入出庫データを入力することによって日単位制、二期制、三期制、四期制の保管料金を比較することができます。
入出庫データの単位はCBMです。
デフォルトでは次のデータが入っています。
この入出庫データに基づいて、在庫が次のように計算され表示されています。
在庫を計算するためには初期在庫を決める必要がありますが、デフォルトでは500に設定してあります。
これら入出庫データと初期在庫はサイドバーで一つずつ変更可能になっています。
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※スマホの場合は画面左上にある「>」をクリックすると
このようにサイドバーが現れます。
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またサイドバーを下にスクロールしていくと、一番下に保管料設定画面があります。
ここでは下記のパラメータを設定できます。
1日当たりの保管料(円/CBM・日)・・・日単位制でのCBM・期当たりの保管料単価です。デフォルトでは30円/CBM・日になっています。二期制の単価はこれの15倍、三期制の単価は10倍、四期制の単価は7倍になります。
二期制の場合の保管料割引率(%)・・・二期制にすると日単位制と比べて確実に保管料は高くなります。従って二期制の期当たりの単価は、何%か割り引かないと日単位制と同等になりません。この割引率をここで設定します。デフォルトでは0%になっています。
三期制の場合の保管料割引率(%)・・・二期制の場合と同じです。
四期制の場合の保管料割引率(%)・・・二期制の場合と同じです。
デフォルトのデータを使った場合の一ヶ月の保管料の比較は次のようになります。
一番下までスクロールしていくと見つかります。
※四期制(週単位制)の場合、一ヶ月を7日で区切ると28日になり30日に2日足りないため、28日分の保管料÷28✕30として30日分の保管料を計算しています。
日単位制で契約した場合の一ヶ月間の保管料は502,740円ですが、二期制の場合はその3.94倍、三期制では2.88倍、四期制では1.95倍になることがわかります。
それでは三期制で契約する場合、日単位制の単価から何%割り引けば同等の保管料になるのでしょうか?
それは下記の割引率を変化させていって、三期制の保管料と日単位制の保管料が同等になる値を見つければわかります。
まずは30%にしてみましょう。
まだ三期制の保管料は日単位制のそれの二倍もあります。
更に変化させていくと、65%でほぼ同等になることがわかります。
日単位制の単価を30円/CBM・日に設定しているため、三期制では
30円/CBM・日✕10日✕(1-0.65)=105円/CBM・10日
に単価を設定して初めて同等の条件になるということがわかります。
まとめ
このように単価の基準になる「期」を長くする場合には、割引率を相当大きくしないと同等の条件にならないことが少なくありません。
荷主の物流担当者も、物流会社の営業マンも、このアプリでシミュレーションしてから交渉に望みましょう。