「バイヤーズコンソリデーション」は本当にメリットがあるの?それは通関制度で決まります。

2021年7月30日

アジアの多数の製造サプライヤーから輸入している会社では、物流コスト削減のためにバイヤーズコンソリデーションという手法がよく用いられます。

 

【参考】

バイヤーズコンソリデーションとは

 

輸入者が同一であれば1つの海上コンテナに複数サプライヤーの貨物を積めることができますので、ばらばらに送るよりも輸送コストや通関コストを削減することができる場合があるのです。

アジアの積み地で複数サプライヤーの貨物をまとめたり、通関書類もまとめる必要がありますので、積み地でのコストは上がる可能性がありますが、揚げ地である日本でのコストは必ず下がるはずです。

荷主(輸入者)としてはトータルでコストが下がればメリットがあるわけです。

一方で物流会社は、積み地でいかにコストを上げずにリードタイムも維持しながら、コンテナにまとめる作業(LCLFCLにまとめる作業)ができるかが腕の見せ所となります。

 

【参考】

LCLとは?FCLの違いと使い分けるポイントを紹介【物流用語】

 

願わくば、それぞれのサプライヤーがLCLで送る場合にかかるコストと、FCLにまとめた場合のコストを同じにできれば、バイヤーズコンソリデーションが成功する確率は格段に上がります。

実は物流会社の立場では、その国の通関制度の違いにより、バイヤーズコンソリデーションがやり易い国(稼ぎやすい国)とやりにくい国があります。

アジアの新興国ではバイヤーズコンソリデーションは大きなビジネスですので、ここで稼げるかどうかはその国で行うビジネスの成否に大きな影響を及ぼします。

今回はその仕組みを数学で読み解きます。

 

通関制度は国によって異なりますが、アジアの新興国では特に大きく異なります。

また日本では通関業者に通関費用を支払っても、税関関税以外は取られませんが、アジアの新興国では税関に通関費用を支払います。

そして、その費用項目も国により大きく異なります。

この費用項目の違いが曲者で、これによりバイヤーズコンソリデーションで稼ぎやすい国とそうでない国とが分かれるのです。

例えばA国では次のようになっています。

 

通関費用:40フィートコンテナ1本当たり250ドル、複数の輸出者の貨物を混載する場合には2社目以降1社につき50ドル追加

LCLの通関費用は1件200ドル

 

同じ通関費用がB国では次のようになります。

 

通関費用:40フィートコンテナ1本当たり60ドル、複数の輸出者の貨物を混載する場合には2社目以降1社につき50ドル追加

LCLの通関費用は1件60ドル

 

この時、1本のコンテナに積められるサプライヤーの数により、バイヤーズコンソリデーションとLCLとで通関費用がどのようになっていくかをシミュレーションしてみましょう。

 

まず、1本のコンテナにサプライヤー2社の貨物を混載するケースを計算してみます。

A国ではコンテナ1本当たり250ドルの通関コストがかかります。

しかしこれは1コンテナにサプライヤー1社分の貨物しか積んでいない場合ですので、もう1社分積むためには手間賃としてプラス50ドル税関に支払う必要があります。

従って合計300ドルが通関コストになります。

 

一方、A国ではLCLで送る場合、輸出通関料として税関に200ドルを支払いますので、サプライヤー2社で合計400ドルのコストがかかります。

つまり、物流会社としては400ドルを売上として請求できるわけです。

(実際には物流会社はこれに利益を載せますが、ここでは簡略化のため無視しています)

従ってA国での利益は100ドルになります。

 

次にB国ではコンテナ1本当たり60ドルの通関コストがかかります。

しかしこれは1コンテナにサプライヤー1社分の貨物しか積んでいない場合ですので、もう1社分積むためには手間賃としてプラス50ドル税関に支払う必要があります。

従って合計110ドルがコストになります。

 

一方、B国ではLCLで送る場合、輸出通関料として税関に60ドル支払いますので、サプライヤー2社で合計120ドルのコストがかかります。

つまり、物流会社としては120ドルを売上として請求できるわけです。

従ってB国での利益はたったの10ドルになります。

 

以上の計算をサプライヤー数を5社まで増やした場合について行うと、次のような結果になります。

A

B

A国は1コンテナに1サプライヤーの貨物だけを積める時は、50ドルの赤字になりますね。

でも、この時はバイヤーズコンソリデーションにしないで普通にFCLで送ればいいので、気にすることはありません。

それより、サプライヤー数が増えるごとに利益が大きく伸びることが分かります。

 

これに対して、B国ではサプライヤー数を増やしてもほとんど利益が得られません。

物流会社としてわざわざバイヤーズコンソリデーションを売り込む動機がないということです。

実は物流会社にとってのバイヤーズコンソリデーションの利益源は通関費用だけではありませんが、他を考慮したとしてもB国ではほとんどうま味のないビジネスなのです。

 

物流会社がやる気なければ、成功させるのは難しいですね。

このような国ではバイヤーズコンソリデーションは流行らないのです。

 

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