【ドライブインラック】実際の保管効率を数値シミュレーションしてみる

パレット単位の貨物を保管するのに、パレットラックがよく用いられます。

パレットラックには大きく分けて2種類あります。

セレクティブラックドライブインラックです。

通常は下図のようなセレクティブラックがよく用いられます。

 

すべてのパレットにフォークリフトでアクセス可能なため貨物の出し入れに便利ですが、フォークリフト用の通路で多くのスペースが必要なため、倉庫のスペース効率は悪くなります。

 

一方、ドライブインラックは下図のように奥行きのあるパレットラックで、スペース効率は高くなります。

しかし手前からしか貨物の出し入れができないため、先入れ先出しが必要な場合には1列に同じロットの貨物しか置けません。

 

そのため、1列単位で入出庫があるような大ロットの貨物でないと、どうしても空きスペースができてしまい保管効率が悪くなります。

 

つまり、

セレクティブラック・・・スペース効率×、保管効率○

ドライブインラック・・・スペース効率○、保管効率×

というようにトレードオフの関係にあります。

 

どちらを採用するかは入出庫の貨物のロットの大きさによりますが、これを数式で解析的に求めることは困難です。

シミュレーションで確率的に求めるしかありません。

そこで、エクセルマクロ(VBA)を使ったシミュレーションの方法をご紹介します。

 

何を比較するか?

まずシミュレーションで何を比較するかを決めます。

セレクティブラックの場合は、どのパレットにもアクセスできますので、入出庫のロットが大きかろうと小さかろうと置けないスペースはできません。

 

ドライブインラックの場合はどうでしょう。

奥行きが3列の場合を見てみましょう。

入庫ロットがパレット3枚分なら、すべて埋まります。

ところが、パレット2枚分しか入庫しないと1枚分置けないスペースができてしまいます。

また、入庫ロットがパレット4枚でも2パレット分置けないスペースができてしまいます。

 

つまり、

入庫ロット3枚・・・保管効率100%

入庫ロット2枚・・・保管効率67%

入庫ロット4枚・・・保管効率67%

です。

 

更に、出庫ロットの大きさによっても、同じような理屈で保管効率が変わってきます。

 

つまり、ドライブインラックの奥行きの列数入出庫ロットの大きさによって、ドライブインラックの保管効率は変わります。

 

シミュレーションの方法

今回は例として、ドライブインラックの奥行きは3列、高さは3段の場合を想定します。

1列に置けるパレット数は最大で9枚ということです。

 

入出庫のロットの大きさは、過去実績を用いるのがいいでしょう。

適正在庫の理論式に基づいた発注でシミュレーションして入庫ロットを決めることもできますが、

「所詮、架空の入庫ロットでシミュレーションした結果でしょ?」

と言われて結果を信じてもらえない可能性があるので、過去の入庫実績でシミュレーションするのが賢明です。

 

具体的には、次のようなシートを作ります。

 

これは1つのSKU(商品アイテム)についてのシミュレーションです。

入出庫数は過去実績データを入力します。

違う日に入庫した商品は別ロットとして扱いますので、入庫したら図の赤、青、緑のように別の列に入力します。

 

その上で、出庫は古いロットの在庫から引き当てていきます。

紫を見て下さい。

3/3に771個の出庫がありました。

この時点で一番古い在庫はロット9ですので、ここから622個をまず引き当てます。

次に足りない分はロット10在庫から149個を引き当てます。

その結果、ロット10在庫は1,021個になります。

 

次にドライブインラック、セレクティブラック、保管効率の列について説明します。(図の赤、青、緑)

 

ドライブインラック1列に入るパレット数を9と仮定しましたが、もう一つ、

1パレットに載る個数は70

と仮定もしています。

 

ドライブインラックの列(赤で囲んだ箇所)は次のように計算します。

この日の在庫はロット9からロット17まで9種類のロットに分かれています。

ドライブインラック1列に収まるパレット数は9で、1パレット当たり70がMAXですから、1列当たりに置けるMAX個数は630です。

ロット9の在庫は622個ですから1列に収まります。(8個分は空)

ロット10の在庫は1,170個ですから2列必要です。(630×2-1170=90個分は空)

以下同様に考えると、

ロット11在庫・・・2列

ロット12在庫・・・3列

ロット13在庫・・・2列

ロット14在庫・・・2列

ロット15在庫・・・2列

ロット16在庫・・・3列

ロット17在庫・・・3列

合計・・・20

となります。

1列当たり9パレット分のロケーションがあるので、合計で180パレット分のロケーションを占有することになります。(20×90)

これが赤で囲んだ180の意味です。

 

次に、セレクティブラックの列(青で囲んだ箇所)は次のように計算します。

ロット9の在庫は622個です。

1枚のパレットに載る個数は70個ですので、9枚のパレットが必要です。(最後のパレットは8個分が空)

同様にロット10在庫からロット17在庫まで、必要なパレット数は次の通りです。

ロット10在庫・・・17枚

ロット11在庫・・・18枚

ロット12在庫・・・19枚

ロット13在庫・・・16枚

ロット14在庫・・・15枚

ロット15在庫・・・13枚

ロット16在庫・・・20枚

ロット17在庫・・・19枚

合計・・・146

セレクティブラックは隙間なくパレットを置けますので、146パレット分のロケーションを占有することになります。

 

ドライブインラックだと180ロケーションを占有しますが、セレクティブラックだと146ロケーションで済むので、セレクティブラックの保管効率を100%とすると、ドライブインラックの保管効率は

146÷180=81%

となります。

 

このようにしてドライブインラックの保管効率の悪さを評価します。

 

シミュレーションを実行する

簡単のため、10アイテムに絞ってシミュレーションします。

各アイテムにつき入庫数と出庫数を入力した次のような表を作成しておきます。

 

このシートから、先ほどの計算シートにデータをコピペして、10アイテムにつき順にシミュレーションし、保管効率の計算結果を別の結果シートにコピペします。

これをエクセルマクロでやらせます。

結果は次のように出力されます。

 

セレクティブラックで保管する場合の保管効率を100%とすると、ドライブインラックで保管する場合の商品アイテム4007の保管効率は80%、アイテム4016の積載効率は98%、、、という意味です。

これだけだと、

「ふーん」

で終わってしまいますので、もう少し踏み込んだ解析をしてみましょう。

 

まず、出庫数でABC分析をしてみましょう。

各アイテムが占める出庫数の割合を計算すると、次のようになりました。

 

商品アイテム4016と7336だけで全体の78%を占めています。

上位20%の商品アイテムで全体の出庫数の80%近くを占めており、パレートの法則に従っていることが分かります。

この割合は出庫数の割合ですが、近似的在庫数の割合と見てもいいでしょう。

(厳密には在庫数は出庫数だけでなく出庫数の標準偏差も関係しますが、ここでは近似的に見ています。

厳密な分析をする必要がある人は、こちらを参照して下さい。

>> 【適正在庫の計算式】に込められた意味をわかりやすい言葉を使って徹底解説!

 

この表に、シミュレーション結果である保管効率を入力してみましょう。

そして各アイテムの在庫割合を保管効率で割ります。

 

ここで計算された調整前の在庫割合は、セレクティブラックで保管した場合に各アイテムが占めるロケーションの割合と見ることができます。

また調整後の在庫割合は、ドライブインラックで保管した場合に各アイテムが占めるロケーションの割合と見ることができます。

そして合計を見ると、調整後は113%になっています。

これはドライブインラックで保管すると、13%多くの保管スペースが必要であることを示しています。

 

意外と差は少ないですね。

4016と7336の2つのアイテムで80%近くを占めていますが、これらは入出庫ロットが大きいためにドライブインラックでも保管効率が高いからです。

保管効率に差があるアイテムは出庫数が少ない=在庫も少ないため、その影響が及ぼす影響は限られるのです。

 

このようにシミュレーションをすることによって数字で示すことができますので、設備投資計画を作る時や、コンサルティングをする時には特に有効です。