倉庫レイアウトの設計方法をロジスティクスエンジニアがわかりやすく解説①|パレットラック編

2021年7月26日

今回から数回に渡って、物流センターのレイアウト設計のやり方を解説していきます。

物流センターのレイアウト設計は、工場のそれと比較すると遥かに簡単です。

どちらかというと、オフィスのレイアウト設計に近いかもしれません。

必要面積の見積り方と、図面の描き方さえマスターすれば、難しい専門知識はほとんど必要ありません。

 

図面を描く時はMicrosoft Visioを使うことをお薦めします。

これは20年前に私が外資系物流会社にいた頃からの世界標準です。

製図ソフトとしてはAuto CADが有名ですが、これは建設業界や製造業界で使うもので、物流業界ではそこまで専門的な機能は必要ありません。

Microsoft Visioを使いこなせるようになれば、パズルのように楽しくレイアウトを描けるようになります。

これについては追って記事を公開していきます。

 

今回はまず、保管エリアの見積り方について解説します。

 

ブロックの寸法を決める

次のような状況を想定します。

 

今使っている倉庫が手狭になってきて、1,400パレット分の貨物が保管できる倉庫を探しています。

パレットは1.1m×1.1mのものを使っていて、カートンに入った商品を積みつけると1.5mの高さになります。

そこに不動産会社から幅42m、奥行き45mで面積1,890 m2の倉庫が空いているとの情報が入りました。

天井高は8mあり、リース料金も立地も問題ありません。

あなたなら、どのようなレイアウトを考えますか?

本当は入出荷量やSKU数、重量などの情報も必要なのですが、今回は保管エリアだけに特化しますので余計な条件は省きました。

 

パレット一枚分の占有面積は1.1m×1.1m=1.21m2ですので。1,400枚分を保管するとなると、床の上にそのまま置く平置き保管では無理があります。

1.21m2×1,400=1,694m2<1,890 m2

倉庫面積の1,890 m2よりは狭いものの、通路や荷捌きスペースなどを考慮すると足りません。

 

そこで、パレットラックを検討します。

パレットラックには通常、一間口に2パレットを置きます。

そして、パレット間やパレットと柱の間は、通常100mmくらいの余裕を持たせます。

従って、1.1m×1.1mのパレットを置く場合の一間口の幅は、

100mm + 1,100mm + 100mm + 1,100mm + 100mm = 2,500mm

となります。

 

また奥行きについては、1.1m奥行きのパレットを置く場合は1mにして、手前と反対側に50mmずつはみ出すくらいにします。

そして、背中合わせになるパレットとの間にも100mmくらいの余裕を持たせます。

 

従って、次のような寸法になります。

 

次に、一間口を上から見た場合の寸法を考えてみましょう。

一間口にはパレット2枚分の貨物が置かれます。

柱と柱の間は先に計算したように2,500mmですが、柱も通常100mmくらいの幅があります。

従って、一間口の幅には柱一本分を加えて2,600mmとします。

柱二本分を加えない理由は、下図のように隣の間口と柱を共有しているためです。

 

奥行きは背中合わせのパレットと100mm空いていますので、2で割った50mmをパレットの奥行き1.1mに加えます。

すると、一間口を上から見た寸法は次のようになります。

 

これを一つのブロックとして平面図上に置いていけば、ほぼ正確にパレットラックをレイアウトできます。

 

ブロックを配置する

上のブロックをレイアウトしていく前に、フォークリフトが通る通路幅を決めておきましょう。

フォークリフトでパレットラックに出し入れするには、直角積付通路幅が必要になります。

 

フォークリフトには型式により最小旋回半径が決まっていて、カタログに載っています。

そして、その値を使って直角積付通路幅は次のように計算することができます。

揚高荷重曲線 | PLATTER SICOS | フォークリフト | 製品情報 より抜粋

 

この式から分かるように、パレットサイズ余裕をどれくらい持たせるかにより計算結果は変わってきます。

大体、3.5m~4mくらいになることが多いと思います。

 

今回は4mとしてレイアウトしてみます。

先ほどの2,600mn×1,150mmのブロックを並べていけばよいだけです。

その一例を下に示します。

 

考え方は簡単です。

右側から順に列を並べていったところ、左側に中途半端なスペースが残ってしまったため、向きを変えて配列しています。

途中柱が4本あるため、デードスペースになる間口を黒色で塗りつぶしてあります。

あと、入出庫の荷捌きスペースとして、手前8mくらいのスペースを確保しています。

これだけです。

簡単ですね。

 

これで保管可能物量は、パレット何枚分になるでしょうか?

レイアウト図のブロック数を数えると159になります。

1間口に2枚のパレットを置けますので、4段済積みのパレットラックにすると、159×2×4=1,272枚分のパレットを収容可能になります。

目標の1,400枚分に届きませんね。

 

そこで5段積みのパレットラックにしたらどうでしょうか?

159×2×5=1,590枚分のパレットを収容可能になり、1,400枚分の貨物を保管できます。

ところが、4段積みにした時の高さを調べてみると、既に7.2mあります。

 

天井高が8mしかありませんので、5段積みにすることは不可能です。

従って、折角、料金も立地も見合う倉庫が見つかりましたが、パレットラック保管では難しいことが分かりました。

 

しかし、ここで諦めるのは早すぎます。

次回は、別のレイアウトでどうか検討していきましょう。