物流センターはなぜ必要なのか?その3つの役割についてわかりやすく解説

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物流センターの役割りはわかりづらい

物流センターの役割りとは何でしょうか?

なぜ物流センターはあるのでしょうか?

管理人はメーカーでエンジニアをしていた頃、その理由がわかりませんでした。

メーカーは良いモノを開発して製造するのが最大の使命だと思っていたので、物流のことははっきり言ってナメていました。

ただモノを置いてあるだけの物流センターに何億円もかけるなんて「何という金のムダ遣い」と思っていました。

一方で、コストにうるさい会社の上の人たちが決めたことなのだから、それなりのリターンがあるのだろうとも思っていました。

でも、その当時の管理人には何億円ものリターンが一体何なのか、さっぱりわかりませんでした。

 

同じような疑問を持っている人も多いのではないでしょうか?

今の管理人はわかりますので、物流センターの役割りについて皆さんと共有します。

 

物流センターの役割り

顧客リードタイムの短縮

まず一つ目は、供給リードタイムの短縮です。

受注する度に工場から配送するには、工場の近くに消費者がいるならともかく、多くの場合は時間がかかりすぎます。

そのため全国何か所かに物流センターを置きます。

昔は、土地代の安い地方に物流センターを置くのが定石でした。

大消費地から少し離れた地方に置くのです。

 

しかし最近はネット販売のための物流センターが、大都市圏で増えています。

受注後翌日とか当日配送するには、消費者に近い場所に置かざるを得なくなっているのです。

そうすると物流センターの建設コストや、働く人の人件費も増えるでしょう。

勿論、消費者に近くなることによって配送コストは減るかもしれません。

それでも、トータルコストは増える方向です。

 

昔の物流センターはB to Bが主でした。

B to Bでは商品価格に物流費が含まれるケースがほとんどです。

そのため、メーカーとしては物流では金が取れないのだから、できるだけ削ろうという意識が働きます。

そのため、物流センターは地方に置かれて、設備も貧弱です。

 

ところが、最近はB to Cが増えてきて、配送代を別に請求するのが当たり前になりました。

企業としても配送費を別に取れるのであれば、もっとお金をかけてもいいと思えるのです。

 

ハブ&スポーク式による輸配送の効率化

物流センターの二つ目の目的は、輸配送の効率化です。

仮に、物流センターがないとどうなるでしょう?

受注の度に工場から配送していたのでは、輸配送費がかかりすぎます。

B to BだろうとB to Cだろうと、配送先が多い割には数量が少ないためです。

 

数量が少ないと、トラックを満載にできません。

その場合は、混載サービスを行っているトラック会社にお願いしないといけません。

一方、いつもトラックを満載にできるだけの量があれば、もっと割安のチャーター便を使えます。

そのため、すべての顧客分をまとめて、なるべく顧客が集中している場所までチャーター便で送るのが合理的です。

 

これはハブ&スポーク方式と言われ、混載サービスを行っているトラック会社も使っている方式です。

宅配便も混載サービスの一種で、この方式で全国に多数の物流センターがあります。

つまり物流センターをメーカーや卸が自分たちで持つということは、混載トラック会社の物流ネットワークを自前化する効果もあるということです。

 

生産と消費のタイミング調整

もう一つの重要な役割が、生産と消費のタイミングを合わせることです。

注文があってから生産して送れるのならば、物流センターは必要ありません。

必ずしも一個一個の注文に対応した生産ができなくても、例えば午前中に受けた注文をその日のうちに出荷できれば、工場に在庫は多少溜まりますが、物流センターまでは必要ありません。

しかし、工場の生産計画はそんなに俊敏ではありません。

原材料だって調達しないといけませんし、コロコロ生産品目を切り替えていたのでは、非効率で生産コストも上がってしまいます。

生産コストを考えると、在庫するための物流センターを作った方が安上がりなのです。

 

(おまけ)流通加工による延期化戦略

これらの大きな目的の他に、最近では流通加工も多く行われるようになってきています。

流通加工とは、検品したり、値札を付けたり、特売用にパックにするなどいろいろあります。

本来、工場や小売店舗などで行う作業を代替するものです。

 

工場で値札やタグを付けてしまうと、どこの店舗でどの時期に売れるか分からないため、後で付け替えるハメになる可能性があります。

出荷先と時期が決まってから行った方がいいため、物流センターで行う方がムダがありません。

これは延期化戦略とも呼ばれます。

なすべく消費される時点まで、延期できる作業は延期した方がムダを省けるという考え方です。

これを更に突き詰めると、無地のTシャツを物流センターに在庫しておいて、デザインと数量が決まってからプリントして出荷するようなビジネスモデルにつながります。

今後、このようなモデルが広がると予想されていますので、物流センターの流通加工は増えていくでしょう。

 

まとめ

このように物流センターには3つの大きな役割があります。

  • リードタイムの短縮
  • 輸配送の効率化
  • 生産と消費のタイミング調整

三つ目は在庫コントロールとも言えます。

>> 安全在庫の役割りと標準偏差を使った計算方法をわかりやすく解説します。

>> リードタイムや発注サイクルが長い場合の適正在庫の計算式を徹底解説!

 

これら3つの目的は互いにトレードオフの関係にあります。

どれかを優先すれば、他がとばっちりを受けるため、最適解を見つけるのが非常に難しい作業になります。

学術的にも解法が確立されていない分野でもあります。

これこそが物流管理のやりがいと言え、物流センターはその核となる存在なのです。