【物流会社 or 荷主の物流部門】どちらで働く方がお得なのか?

◆仕事や勉強の息抜きに。。。

物流業界の仕事は星の数ほどある

物流の仕事に就きたい場合、それは物流会社での仕事だけに限りません。

荷主会社で働く選択肢もあります。

そして荷主会社にまで選択肢を広げると、就職先は星の数ほどあります。

業種もメーカー、商社、小売り、飲食サービス業など様々です。

扱う商材でいっても、自動車、電機、アパレル、食品、日用雑貨品、医薬品、ラグジュアリーブランドなど、これまた様々です。

 

物流業界の裾野は、とても広いのです。

その中でどこが自分に一番合った会社かを知ることは、とても難しいことです。

今の職場で満足していたとしても、もっといい職場があるかもしれませんので。

 

管理人は物流会社でも荷主会社でも働いたことがあります。

一体、どちらが美味しいのでしょうか?

 

物流会社にとり荷主は神様

物流会社で働いている人で、一度は荷主会社で働いてみたいと思っている人は少なくないでしょう。

物流会社はサービス業の一種ですが、サービスの質で差別化しにくい世界です。

言ってみればレッドオーシャンです。

 

このような世界では、いかに人として顧客に気に入ってもらえるかは死活問題です。

結果として、お客様は神様になります。

使用人の立場である物流会社の社員から、一気に神様の地位にジャンプアップしたいと考える人が多いのは当然でしょう。

 

物流会社から荷主に移ると一目置かれる

でも実際はどうなのでしょうか?

まず、管理人が荷主会社で働いていた時の話しをしましょう。

管理人は物流会社数社で働いた後、アパレル会社に入りました、

ロジスティクス統括という立場でしたので、入社していきなり大きな意思決定を迫られました。

それまで2か所あった物流センターを集約するか否かの判断です。

でもこれは大きな問題ですが、簡単な問題でもありました。

合理的に考えれば集約すべきなのが明らかだったからです。

 

どちらを残してどちらを潰すかも明らかだったのですが、どちらも物流会社に委託していましたので、一応礼儀として集約した場合にどのように増えた物量をさばくかということについての提案書をそれぞれの物流会社から出してもらいました。

物流会社の規模でいうと、潰す方の物流センターを運営している物流会社は大手、もう一方は中堅でした。

 

出てきた提案書は、大手の方がはるかに見栄えの良いものでした。

その会社には所謂ロジスティクスエンジニアリングの専門部署がある上に、外部の物流コンサルタントまで雇うという力の入れようです。

各工程をどのくらいの広さを確保して何人で運営するかということも、きちんと数字で示していて説得力のあるものでした。

こちらの会社の社員は皆感心しながら頷いています。

 

でも、同じようなことをやってきた元物流コンサルタントから見ると、無理に論理展開している箇所が見えてしまうのです。

自分たちでもこれは難しいと思っていたために、外部のコンサルタントまで雇って必死に見せ方を考えたのでしょう。

このような見方は、実際に作り手(この場合は物流会社)の立場にいた人にしかできないと思います。

管理人がいなかったら、恐らくこのアパレル会社は大手の方に集約していたか、2か所の物流センターを存続させたかのいずれかだったでしょう。

 

このように、物流会社の人が荷主会社に転職すると、物流会社の手の内が分かるため一目置かれます。

一般的な料金相場を知っているとか、その料金をどこまで値切れるかを知っていることも、手の内が分かることの一部です。

このように考えると、もっともっと物流会社から荷主会社への転職が盛んになってもいい気がします。

 

荷主には別のスキルも必要

ところが、荷主会社の物流部門では他にも必要なスキルがあります。

物流会社の人は自分たちがやっている業務が物流のすべてと思う傾向がありますが、そんなものはサプライチェーン業務の中の一部で、営業部門や生産部門とやり取りしながら在庫量を調整したり、積載効率のよい製品設計を開発部門と考えたり、配送コストを抑えるために営業と一緒になって納品条件を交渉したりといった社内外の調整業務があります。

これらの業務は通常は物流会社は立ち入らないため、物流会社で働いている人にはないスキルです。

 

物流会社にも別のスキルが必要

逆のことは荷主会社から物流会社への転職者にも言えます。

物流会社の人は輸送や倉庫や通関等の実務については、荷主会社の人よりもよく知っています。

荷主会社から物流会社へ転職希望する人のよくある動機が、その道のプロフェッショナルになりたいからというのも頷けます。

 

実はお互いのスキルが求められている

しかし、荷主会社で働いていた人には、サプライチェーン上流の業務経験があります。

適正在庫の調整方法や、そのために営業部門や生産部門とどういう点に注意してやり取りしないといけないかとか、複数の物流業者の管理方法、物流ネットワークの設計方法などは、物流会社で働いているだけではなかなか身に付かないものです。

一方、物流会社では3PL案件を獲得するための物流コンサルティングのメニューとして、これらを行いたいと考えています。

そこに荷主会社出身者の求人需要があります。

特に、自動車業界医薬品業界など、業界規模が大きいとか、将来性があるとか、業界特有の習わしがある場合には、その人の価値には更にプレミアムが付きます。

そのような業界を今後強化していきたいと考えている物流会社からは二重丸が付くでしょう。

だからこそ、物流会社各社の企業分析が必要なのです。

>> 物流会社各社の強み/弱み/経営戦略についての分析はこちら

 

このように考えると、物流会社と荷主会社のどちらが美味しいということは一概には言えません。

ただ言えることは、どちらも経験して初めてサプライチェーンが理解できるようになるということです。

その意味で、日本はまだまだ両者間の行き来が少なすぎると思います。

 

荷主にはミーハーな世界もある

物流会社はどこも地味ですが、荷主会社には自分の好きなブランドの会社、高級ブランド会社、ミーハーな会社などいろいろあります。

また、業界によっては物流業界より全然待遇の良い業界もあります。

物流会社だけが物流ではありません。

 

逆に、荷主会社の物流部門で各部門の調整に疲れてしまったという方。

あなたのその業界ニッチな調整能力を高く買ってくれる物流会社があるかもしれませんよ。