物流企業に「こいつはよく研究してる」と思わせる志望動機の書き方|文例集付き

2024年3月8日

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志望動機は募集背景に合わせて変えるのが当たり前

転職する際に、志望動機は書類選考でも面接でも必ず聞かれます。

志望動機は、

  1. その業界を志望する理由
  2. その会社を志望する理由
  3. 自分がどのように貢献できるか

の3点について独自性を出しながら伝える必要があります。

独自性を出しながらということは、人によってバックグランドは様々ですので、これが正解というものはありません。

 

が、しかし、

 

一度作ったとっておきの志望動機をコピペして使いまわししていませんか?

応募する会社によって志望動機を変えることは当たり前です。

面倒でも毎回変えましょう。

 

なぜか?

 

その求人が出てくる背景はいつも違うからです。

あなたが今まで中小物流会社でフォワーディング8割、倉庫2割の経験があり、大手フォワーディング会社の倉庫業務の求人に応募するとしましょう。

この時、そのままの経歴を伝えたら、まず書類落ちでしょう。

 

なぜその求人が出てきたのでしょうか?

きっとその会社にはフォワーディングに強い人はいくらでもいるけど、倉庫業務に強い人がいないのでしょう。

ならば、倉庫業務の経験を思いっきり強調しましょう!

 

また、職務記述書も丁寧に読みましょう。

「本社などの間接部門で各現場の作業標準化を推進する仕事」

もしそうなら、そしてあなたの2割の倉庫経験が現場だけだったなら、少し難しいかもしれません。

 

しかし、

 

8割ある豊富なフォワーディング業務の中で、少しでも間接業務的な経験はありませんでしたか?

フォワーディングのための新システム導入で部署の窓口になっていた経験があれば、それは立派な標準化プロジェクトのプロジェクトリーダーです。

それを思いっきり強調しましょう!

 

これくらいのハッタリは必要です。

でも求人の背景を知るためには、応募する会社の特徴や、業界内での立ち位置まで調べないと分かりません。

まずはそこから調べましょう。

 

志望動機を考える前に研究すべき3つのこと

業界内での会社の位置づけを知る

まずは、物流業界の構造の理解から始めましょう。

輸送手段(輸送モード)には大きく分けて海運空運陸運の3つがあります。

しかし物流会社だからと言って、すべての会社が実際に船や飛行機やトラックや鉄道を持っているわけではありません。

実際にこれらの輸送機関を自社で持って運用している会社は、日本郵船(海運)や日本航空(空運)やヤマト運輸(トラック)やJR(鉄道)など一握りの会社で、実運送業者と呼ばれます。

これらの輸送機関を自社では持たずに、他社のものを利用して輸送サービスを提供している会社を利用運送業者と言います。

そして、特に海運や空運での利用運送業者のことをフォワーダーと呼んでいて、国際物流サービスを提供しているほとんどの会社はこのカテゴリーに入ります。

海運フォワーダーはNVOCC(Non Vessel Operating Common Carrier)、空運フォワーダーはエアフレイトフォワーダーとも呼ばれます。

 

一方、陸運の中のトラック運送については、海運や空運ほど自社で輸送機関を持つハードルが高くないため、多くの実運送業者が存在します。

とは言え、日本のトラック運送業者の約1/4は利用運送業者です。

なぜ利用運送業者がそんなに生き残れているのかと言うと、自社ではトラックを持たないメーカー系や商社系の物流子会社が含まれていることや、実運送業者だけれども物量が大きい時は自社トラックでは賄いきれないため外注するケースがあるためです。

 

トラックの実運送業者は特別積み合わせ貨物運送事業者一般トラック運送事業者に分かれます。

前者は不特定多数の荷主の貨物を1台のトラックに混載して運ぶのに対して、後者は基本1台につき1荷主の貨物を載せます。

バス事業で言うと、前者は乗合バス、後者は貸切バスに例えられます。

そして特別積み合わせ貨物運送事業の一つが宅配便です。

比較的小さいサイズの貨物に限定して、割り易い料金体系でサービスを提供しているのが特徴です。

 

またこれらの他に、海運と陸運の結節点の役割を担う港湾業や、すべての輸送モードの貨物保管を担う倉庫業があります。

まとめると次のようになります。

 

図の中に記載したインテグレーターとは、エアフレイトフォワーダーや宅配便業者が担う機能をすべて自社アセットでサービス提供する業態で、DHLUPSFedExTNTの4大インテグレーターが相当します。

また、その他の物流会社もこれらの業態の一つだけを担っているというわけではなく、中堅以上の会社は通常複数の業態を兼ねています。

特に国際物流企業を標榜する会社は、フォーワーダー、貨物利用運送事業者、一般トラック運送事業者、倉庫業者を兼ねているケースがほとんどです。

このように物流業界は色々な業態があり、その境目も曖昧で、一つの会社が複数の業態を兼ねているため、理解するのが難しい業界です。

まずは、自分の入りたい会社がどの業態に属するのかを知ることが大切です。

 

【2021年版】日本の3PL企業ランキング63社!|7つの財務指標で徹底比較

 

会社の得手不得手を知る

このように複数の業態を兼ねている物流会社は多いのですが、その出自によって得手不得手は異なります。

例えばフォワーダーを出自とする会社は、多くの海外拠点を背景とするネットワークによりフォワーディングには強いのですが、トラック輸送業や倉庫業については、それらを出自とする会社には叶いません。

海外拠点が多いと大きくて凄い会社だと思ってしまいますが、トラック輸送や倉庫については中堅の物流会社の方がはるかに優れたノウハウを持っているケースも多くあります。

逆も当然然りです。

 

また扱う貨物の種類によっても物流のやり方は異なりますので、請負先の業界によっても得手不得手は大きく分かれます。

最近は多くの物流会社が3PL(サードパーティロジスティクス)を標榜して、顧客の課題を解決しながら物流を丸ごと請け負うというサービスを拡大しようとしています。

そのために不得手な分野も克服したいと考えています。

従って中堅以上の物流会社では、自分たちが不得手な分野に通じた人材を中途採用するニーズが増えています。

自分の受けたい会社の出自得手不得手を把握することはとても重要です。

 

主要な物流会社について得手不得手を分析していますので、こちらも参考にしてみて下さい。

>> 物流企業研究

 

自分の強みを知る

次に、自分が受けようとしている会社の不得手分野で活躍できるかどうかを見極めないといけません。

いくら自分が倉庫業を得意とする会社で働いていても、担当しているのが倉庫オペレーションではなく営業の場合、倉庫オペレーションを強化したい会社には響きません。

 

これは必ずしもドンピシャでニーズに合わなければダメということではありません。

採用する側としてもドンピシャの人を採れることなんて滅多にありませんので、多少ずれていても自分の見せ方やタイミング次第で採用される可能性もあります。

でもオペレーションを強化したいという時には、通常オペレーション部門から求人が出されています。

ですので、いくら倉庫に強い会社で営業で成果を上げてきた人でも、オペレーションとしてはアンダースペックと思われてしまいます。

仮に倉庫営業で素晴らしい成果を上げてきた人であれば、もしかすると営業部門に紹介してもらえるかもしれません。

でも、その可能性は低いでしょう。

ポテンシャルの高い人ならポテンシャル採用される可能性もあるかもしれませんが、通常は余程の余裕のある会社/部署でないとポテンシャル採用なんてしませんので。

 

そのような人は、3PL営業を強化したいが倉庫を分かっている営業マンがいない会社で「倉庫に通じた営業マン」を狙うか、倉庫を含めた「3PLソリューション開発」のポジションを狙う方が得策でしょう。

むしろ、あまり有名な会社ではないけれども、倉庫業に特化した会社で現場経験もあり作業改善経験もある人の方が、倉庫オペレーションを強化したい会社から採用される可能性は高いと思います。

 

また「自分を知る」ところで重要なのは、自分の色を出すことです。

これは物流に限定したことでなくても、それまで自分が生きてきた中で「これについては人様より少し自信がある」ことを、無理やりでもいいので希望する仕事に結びつけて伝えましょう!

 

 

 

 

 

人の懐に飛び込むことが上手くコミュニケーション能力に優れた人でしたら、営業系なら言うに及ばずですね。

オペレーション系であっても現場をうまく巻き込みながら

One Teamにまとめて改革をやり遂げる自信があります!」

というように伝えれば、他の人とは違った成果を出す自信があることを強調できますね。

 

志望動機の具体的な書き方

自分の色を強調する

業界と会社と自分を知ったら、後はいかにそれを色付けするかを考えます。

  1. その業界を志望する理由
  2. その会社を志望する理由
  3. 自分がどのように貢献できるか

ここでのポイントは、3から1に向かって主張を一貫させることです。

業界内での転職でしたら1は必須ではありません。

しかし新卒で物流業界を選んだ理由や、過去に転職で業界チェンジした人でしたら、その理由が2や3と結びついていると、より自分の色を強調できます。

 

募集背景により強調する部分を変える

またよくある残念な例が、一旦作った志望動機をいろいろな会社に使い回すことです。

志望動機は重要なので、応募する会社に響くように強調すべき部分を変えるべきです。

例えば世界で活躍できるSCMコンサルタントを目指している人なら、国内勤務のコンサルティング会社に応募する時には一流のSCMコンサルタントになりたいことを強調し、海外勤務の物流会社に応募する時にはどうしても海外勤務したいことを強調すべきです。

 

 

 

 

 

応募したいポジションについて、なぜそのポジションが募集されているのかという背景を十分に考えて、自分にその資格があると確信できれば、後は作文の問題です。

 

アカデミックなことも勉強しておくとベター

最後にもう一点。

最近は転職する人が増えているとは言っても、海外と比較するとまだまだ日本の会社は純血主義です。

物流は会社が変わっても通用する汎用的なスキルが多い業界ですが、一つの会社でしか働いた経験がないと、驚くほど狭い範囲の経験しか積めないものです。

そうすると、応募する会社の採用担当者と話しがかみ合わない可能性があります。

お互い狭い範囲の経験しかないとそうなります。

ですので、日頃から業界情報にアンテナを張ると同時に、少しアカデミックなことも勉強しておくことも大事ですよ。

どこの会社にも独特の言い回しというのがありますが、そういう言葉がアカデミックの世界、もしくは業界一般的にはどういう言葉を使っているのかは知っておいた方がいいでしょう。

また日頃から自分のやっている仕事がSCM効率化の中でどんな意味があるのかということや、自分のやっている業務がアカデミックの世界ではどんな風に表現されているのかということ等を、常に意識するとよいと思います。

 

最後に志望動機の文例集を列挙しましたのでご参考まで。

 

志望動機の文例集

物流業界を志望する理由

☑メーカーは工場が海外移転したり、新興国に追い上げられて国内空洞化する可能性があるが、物流は絶対にない(メーカーから異業種転職する人や新卒向け)

(その場で消費されるという性質を持つ)サービス業は空洞化しないが、海外展開していて海外で活躍できる機会のあるサービス業は少ない。物流業はその一つである(海外志向の人向け)

☑物流会社は顧客の言われるがままに輸送サービスや倉庫サービスなどを提供しているだけでは、価格競争になって生き延びていけない時代になっている。個々の顧客の要望に応じた包括的な3PLサービスを提案する能力が求められているが、そこでは物流全般についての幅広い知識と経験が必要。ベテランが重宝される業界とも言え、生涯続けられる仕事としてやりがいがある

☑商品が届くまでのプロセスに興味がある。例えばDHLとEMSは同じ航空便なのになぜ届く日数が違うのか?個人輸入する時に税金がかかる時とかからない時があるのはなぜなのか?港に船が付いているのに商品が届くまでの1週間も何をやっているのか?等。物流や通関のプロセスを理解すると、身近なことから企業のサプライチェーンまで理解できる

☑物流は日々色々な問題が発生するが、トラブルシューティングをして顧客に感謝される仕事にやりがいを感じる(管理人は感じたことないが)

☑メーカーではその会社で扱う商品についてだけには詳しくなれるが、物流はモノを扱う会社すべてに関係するため普遍的な知識や経験が得られる

☑コロナ禍で物流が社会に欠かせないエッセンシャルワークの一つであることが再認識されたことにやりがいと誇りを感じる

☑ネット通販物流は今後も更なる伸びが期待される成長産業である

☑人手不足が進む中で物流にも自動化・ロボット活用の波が押し寄せている。ビッグデータやAIの活用もこれからと言え、テック活用の成長分野である(理系新卒やIT業界やメーカー技術者からの異業種転職組向け)

☑ネット通販の拡大、ビッグデータの飛躍的な増加、少子高齢化による買い物弱者の増加、人手不足による外国人やロボットの活用、環境問題等により、今後物流業界を取り巻く環境は大きく変わっていくと考えられ、その変革期に斬新な発想で貢献していきたい

その会社を志望する理由

☑世界を舞台に活躍できる国際物流会社で働きたい(海外展開していない倉庫業に強みを持つ会社から転職する場合など)

☑共同物流プラットフォーム構築を目指す会社で、同じ業界で物流の経験を積んできた自分の経験と強みを生かしながら成長したい(例えば消費財メーカーの物流子会社から消費財物流の共同物流プラットフォーム構築を目指している物流会社へ転職したい人向け)

☑メーカーや商社の物流企画部門で培ったサプライチェーンの上流設計経験や業界知識を、物流会社のソリューション開発や営業で生かしたい

☑メーカーや商社の物流企画部門で培ったサプライチェーンの上流設計経験や業界知識を、物流/SCMコンサルティング会社で生かしたい

☑物流/SCMコンサルティング会社で培った分析・改善テクニックや他業界のベストプラクティスを、メーカーや商社の物流企画で生かして最適な物流ネットワークの構築に貢献したい

☑メーカーの生産管理や物流管理で培った需給調整業務の経験や業界知識をSCMコンサルティングに生かしたい(外資系経営コンサルティング会社へ転職したい人向け)

☑メーカーの工場でQC7つ道具を使って生産現場カイゼンをしてきた経験を、成長分野であるネット通販企業の物流センターでのカイゼンに生かしたい(物流業界では生産現場カイゼンの方が倉庫現場カイゼンより格上だと思われている)

☑メーカーの設備エンジニアとして設備設計や保守をしてきた経験を、成長分野であるネット通販企業で物流センター自動化に貢献したい(物流センターの自動化やロボット活用は今後どんどん増えるはずなので、今のうちに転職すれば先行者メリットを享受できるはず)

☑医薬系共同物流プラットフォームを運営する物流会社で培った物流センター設計や運営に関する経験を、外資系医薬メーカーの物流効率化に生かしたい(外資医薬メーカーの物流企画は高待遇)

☑フォワーダーで培った様々な商品の通関やフォーワーディングの裏側についての知見を、自分の憧れのブランドを扱う外資系商社の物流効率化に生かしたい

☑IT会社やマーケティング会社などでビッグデータを統計処理をしてきた経験を、憧れのブランドを扱う外資系メーカーや商社の需給調整部門で生かしたい

☑SCMコンサルティングで培った知見を事業会社で試したい(コンサルからの転職向け)