ヤマトホールディグスに応募する前に知っておきたい会社の強みと弱みを徹底分析!

2021年8月9日

ヤマトホールディグスのキーワードはアマゾンデジタル化ロジスティクスです。

順に見ていきましょう。

物流会社売上ランキング2021年版 2位)

 

アマゾン

ヤマト運輸は日本人で知らない人はいないほどの大企業ですが、1929年に日本発の路線便、1976年に日本発の宅配便を開始したイノベーティブな会社です。

宅急便はヤマトの商標で固有名詞、宅配便は普通名詞です。

そしてこれらに次ぐ第三のイノベーションとして2013年に発表されたのが、バリュー・ネットワーキング構想です。

 

それまでの宅急便ネットワークはハブ&スポーク型で、全国に約70か所あるハブ拠点間を夜間に大型トラックを走らせることによって、長距離の貨物移動を行っていました。

これを東京・名古屋・大阪に超大型のゲートウェイと呼ぶターミナルを建設することで、24時間365日五月雨式に長距離の貨物移動ができるようにしました。

これにより主要都市間の当日配達ができるようになりました。

この頃のヤマトは盤石で、2014年の一斉料金値上げも難なく乗り切れました。

 

風向きが変わってきたのは、2017年に行った再度の値上げ総量規制からです。

総量規制とは、ヤマトに委託できる物量に1万個というようなを設けて、それを上回ったら顧客は追加料金を支払うという契約体系です。

これはまずいと思ったアマゾンはヤマトより規模の小さな物流業者を地域ごとに組織して、アマゾン専用のデリバリープロバイダーとしました。

デリバリープロバイダーはTMGSBS、丸協運輸機関等9で組織されています。

同時に、それ以前から小規模に始めていた自社便(アマゾンフレックス)も拡大しています。

 

その結果、アマゾンがヤマトに委託する貨物は減り配送効率が落ちてしまいました。

アマゾンは色々な業者と横でつながり水平統合型でやっているのに対して、ヤマトは基本的に自社で完結させる垂直統合型で資本投下していますので、前提が崩れてくると効率が一気に悪くなります。

ヤマトは否定していますが、値下げしてシェアを取り戻そうとしているという噂もあります。

 

なぜ、当時日本の宅配便市場で約半分のシェアを持っていたヤマトが、宅配便で配送するEC市場が伸びているのに苦戦しているのでしょうか?

その理由は、東北から九州まで全国27か所にまで急増したアマゾンのフルフィルメントセンター(物流センター)にあります。

宅配便は集荷幹線輸送配送をパッケージ化したサービスです。

もしアマゾンのフルフィルメントセンターが全国に数か所しかなければ、幹線輸送配送はヤマトの輸送ネットワークに頼るのが効率的です。

これまでの日本の通販会社は大体このレベルだったため、宅配便一択でした。

 

ところが、全国各地に物流センターができると、物流センター間の幹線輸送は自社でできてしまいます。

大型トラックを満載にできるだけの十分な物量さえあれば、後はトラックをチャーターすれば良いだけなので、ヤマトの幹線輸送に頼る必要がないからです。

必然的に、ヤマトに頼るのは物流センターからの近距離のエリア配送だけになります。

ヤマトにとっては集荷はなくても許せるとしても、幹線輸送もなしの配送だけとなると、地場の中小輸送業者とサービスで差別化できずに、ただの料金勝負になってしまいます。

 

そこでヤマトは2020年に発表した経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」で、ECエコシステムを確立すると表明しています。

全国の物流事業者とヤマトの拠点を、デジタル基盤を活用して1つの疑似プラットフォームのように運用するというものです。

今までの垂直統合型から脱却して、ラストワンマイルデリバリーでは水平統合も取り入れつつ、輸送手段を最適化するITシステムはヤマトが提供して主導権は渡さないということだと思います。

 

また2020年6月にはZホールディングスとの業務提携を発表しました。

ヤフーが運営する「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」の出店者向けに、ヤマトの物流センター兼ターミナルに在庫を置いてもらい、フルフィルメントセンターとして使ってもらうというものです。

何年も前からヤマトは中小EC事業者向けにそのようなサービスを普及させようと思っていたはずですので、普及を後押しするための施策にすぎないと思います。

 

アマゾンは既にこのサービスを必要としないほど巨大化していますので、他のEC事業者の貨物は取りこぼさないよう攻勢をかけていくものと思われます。

 

デジタル化

ヤマトは佐川よりもドライバー向けのITシステムでは進んでいると言われています。

しかし、毎日変動する物量の予測や、それに基づく各業務量の予測配車最適プライシングなどはまだシステム化できていません。

これを機械学習などのAIを使って、勘と経験に頼るやり方からの脱却を目指しています。

 

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まだまだ潤沢なキャッシュフローを、将来のラストワンマイルデリバリーの革新につぎ込んでいる感じですので、非常にやりがいは大きいと思います。

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また、基幹拠点における自動化も推進していくことを明言しています。

例えば、全国に70か所の基幹拠点(ベース拠点)があり、そこでその他に数千ある末端拠点向けに仕分けをしているのですが、今はドライバー(ルート)ごとの仕分けは末端拠点で行っています。

これを基幹拠点に自動ソーティングシステムを導入することにより、ルート仕分けまでを基幹拠点で済ます計画もあります。

 

この他にも、EC向け物流拠点へのロボットの投入なども推進していくものと思われます。

 

ロジスティクス

ヤマトでは主力のデリバリー事業の他に、B to B向けのロジスティクス事業も行っています。

ヤマトではBIZ-ロジと呼んでいます。

かつて宅急便が日本の宅配便市場の約半分のシェアを持っていた頃は、このBIZ-ロジ事業が今後の成長の鍵を握ると言われていて、バリュー・ネットワーキング構想を標榜していました。

これは高付加価値モデルの創出と、海外事業展開の2つの柱から成り立っています。

 

高付加価値モデルの創出では、東京、名古屋、大阪に立ち上げた大型拠点ゲートウェイを活用した止めない物流クラウド型在庫ネットワークサービスなどで、一定の成果を上げたといえます。

 

一方、海外事業展開では沖縄国際物流ハブを中心とした航空貨物輸送サービス、マレーシア宅配大手GD Expressとの資本提携、タイでのサイアム・セメント・グループとの合弁による宅急便事業、マレーシアのクロスボーダートラック大手OTLの買収などを行いましたが、まだ収穫期には至っていません。

ヤマトが日本で培ってきた高品質の宅配便サービスの需要がアジアにあるかは未知数といえます。

 

以前の中期経営計画では2019年度までにBIZ-ロジ事業の売上比率を20%にする目標でしたが、2020年度時点でまだ8.6%です。

同じく宅配便大手のSGホールディングスのロジステイクス事業は22%ですので、デリバリー事業に次ぐ成長の柱が育っていないといえます。

バリュー・ネットワーキング構想とは、物流をコストセンターからバリューを生み出す手段に進化させるという、非常に高尚なキャッチフレーズです。

しかし、物流をバリューを生み出す手段にできるのはEC事業者や一部卸売業者など、一部ビジネスに限られます。

ほとんどの会社にとっては物流は最小限のコストで無駄なく行いたい業務で、やはりコストセンターです。

だからこそ、非競争領域の物流ではライバルとも共同化するという共同物流が推進されているのだといえます。

ヤマトにしかできない何かをもう一度練り直す必要があるのではないでしょうか。

 

まとめ

ヤマト運輸は路線便宅急便を日本で初めて事業化したイノベーティブな会社で、一時は宅配便市場の約半分の市場シェアを押さえました。

EC化の波に乗り最も恩恵を受ける企業の一つと思われていましたが、2017年の自らに端を発した宅配クライシスを機に、アマゾンが組織したデリバリープロバイダに市場の浸食を許してしまいました。

今後、今まで築き上げてきた宅配プラットフォームをオープン化デジタル化しながらアマゾンなどに対抗するEC物流の仕組みを構築していく狙いです。

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また一足早くロジスティクス事業を軌道に乗せつつあるSGホールディングスに対して、どのようなビジネスモデルで対抗していくのかにも注目です。