【DHL】応募する前に知っておきたい会社の歴史と収益性と事業規模

2022年1月2日

Deutsche Post DHL グループはドイツ連邦郵便が段階的に民営化されてできた会社で、2009年から現在の名称になっています。

グループ内には郵便、Express(国際宅配便)、Global Forwarding & Freight(フォワーディング)、Supply Chain(ロジスティクス)、eCommerce Solutionsの5つのdivisionがあり、それぞれが世界でトップクラスの国際総合物流企業です。

3PL会社としても売上高世界1位です。

【2021年版】世界の3PL大手|グローバル売上高ランキング TOP30

 

歴史

ドイツ帝国から続いた帝国郵便は、第二次世界大戦後に連合制郵政当局になり、1948年の東西分裂により西ドイツのドイツ連邦郵便と東ドイツのドイツ郵便に分かれました。

1990年のドイツ再統一後はドイツ連邦郵便に統合され、1995年にはドイツテレコムドイツポストバンク、そしてドイツポストの3つの株式会社に分割されました。

この時点では、まだ国やKfW(ドイツ復興金融公庫)が大半の株式を持っていましたが、2008年までに民間にすべて売却されています。

その点、1994年に株式会社化されたものの、未だに国が100%の株式を保有しているドイツ鉄道(Deutsche Bahn AG)とは異なります。

 

ドイツポストが世界トップの国際物流企業への歩みを始めたのは1998年にDHLの株式を取得し始めてからです。(2002年までに完全取得)

翌年1999年にはスイスの大手フォワーダーDanzasを傘下に入れ、現在のDHL Global Forwardingになっています。

そして2005年には当時3PLで世界トップとの呼び声もあった英国のExcelを傘下に入れ、現在のDHL Supply Chainになっています。

 

eCommerce Solutionsを祖業である郵便と同じと見なすと、ドイツポストは郵便ExpressGlobal ForwardingSupply Chainの4部門に大きく分けられます。

このうち、郵便以外はそれぞれ1998年以降に買収したDHL、Danzas、Excelが母体となっており、売上ベースでは4つの部門でほぼ均等になっています。

このことから、ドイツポストは戦略性と買収後のマイグレーション能力に長けた会社と言えます。

 

買収した会社の中では、物流3部門のブランド名としても存続しているDHLがやはり目立ちます。

そこでDHLの歴史についても見ておきましょう。

DHLの社名の由来は3人の創業者Adrian Dalsey、Larry Hillblom、Robert Lynnの名前から来ています。

中でも中心的な役割を果たしたのはLarry Hillblom氏です。

Hillblom氏はカルフォルニア大学に通っていた頃に、保険会社でクーリエのアルバイトをしていました。

これはカリフォルニアで配送の委託を受けた書類を、その日のオークランド行き最終便の飛行機に乗って運び、翌日朝一の便でオークランドで配送依頼を受けた書類をカリフォルニアに運んでくるというものです。

学生なのに週5往復もしていたそうです。

このビジネスモデルに可能性を感じたHillblom氏が、卒業後にDalsey氏とLynn氏と1969年に起こした会社がDHLです。

最初の仕事はホノルルーロサンゼルス間で、B/L(船荷証券)の輸送だったそうです。

このアイデアは当たり、1970年代に国際クーリエ会社として成長します。

 

一方で同じようなサービスを展開している米国の会社としてFedEx(フェデックス)を思い浮かべるのではないでしょうか?

FedExの創業も1971年と近く、こちらは始めから自社アセットを使ったハブ・アンド・スポーク方式で大々的にオペレーションを展開していたので、いかにもDHLは飲み込まれてしまいそうです。

しかし当時のFedExは米国内のサービスに特化していて、国際クーリエサービスに参入したのは1981年だったため、DHLは1970年代に急成長できたようです。

今では国際宅配便というと安く済ますならEMS、決まった日までに確実に届けたいならDHLというくらい一般的になっているのではないでしょうか。

 

収益性

まず、グループ全体の売上とEBIT(Earnings Before Interest, Taxes)を見てみましょう。

 

売上高が日本円にして7兆円以上というのも凄いのですが、EBITマージン(EBIT/売上高)も7%前後と高くなっています。

EBIT=税引前当期純利益+支払利息-受取利息

ですので、EBITマージンは税引き前売上高当期純利益率とほぼ等しいと見なすと、物流業としてはかなり高い水準です。

これをセグメント別に調べると、どこで儲けているのかが分かります。

まずは売上高です。

 

eCommerce部門はまだ小さいものの、その他はほぼ均等にバランス良く売り上げています。

次にEBITです。

 

Express部門で半分を占めています。

売上高では約1/4なのに利益では半分を占め、ここで大きく儲けていることが分かります。

最後にEBITマージンです。

 

やはりExpressで14%という驚異的な利益率を上げています。

その他、独占事業である郵便でも10%近くの高い利益率を上げています。

その他は3~4%となっており、これは業界平均と言えます。

このように寡占状態にあるExpress事業と郵便事業を持っていることが、ドイツポストの利益率が高い理由です。

 

次に取り扱い物量を見てみましょう。

まず航空フォワーディングです。

この分野では長年DHL Global Forwardingは世界トップに君臨してきました。

DHLにはDHL Aviationと呼ばれる5社からなる航空実運送子会社群があり、約250機の航空機を所有しています。

DHL Express優先ですが、空いたスペースはDHL Global Forwardingで活用できるため、競合のフォワーディング会社に比べ有利な立ち位置にあります。

しかし、長年2位だったKuehne + Nagelが2021年に香港の有力フォワーダーApexを買収したため、下図のようにDHLを抜くことになりそうです。

 

海上フォワーディングではどうでしょうか。

こちらは長年Kuehne + Nagelがトップ、DHL Global Forwardingが2位です。

 

今年もこの構図は変わらないと思いますが、ドイツポストが公開している2021年の9か月間実績によると、航空と海上を合せたフォワーディング売上高が前年比46%増で推移しているため、蓋を開けてみないと分かりません。

 

次に、DHL Supply Chainが担っているContract Logistics事業(倉庫/DC運営)の世界シェアはどのくらいなのでしょうか?

輸送トン数やTEU数で明確に取り扱い物量を測れるForwardingと違って、Contract Logisticsは事業規模を測るのが難しいとされています。

業界や顧客により在庫回転数に大きなばらつきがあったり、パレット単位で入出庫を行うケースとバラピッキング後に出庫するケースとでは人件費も全く異なるため、倉庫面積で測るのは適当ではありません。

売上高で測るにも、会社によって倉庫からの配送売上を含むケースがあったり含まないケースがあったりするため正確な比較が困難です。

そんな中で、DHLでは売上高で業界規模とシェアを次のように推定しています。

Deutsche Post DHL Group 2020 Annual Report より抜粋)

 

これによるとDHLは2位以下を引き離してダントツ1位ということになります。

業界別にはリテール生活消費財分野に強いようです。

欧米の世界的ブランド会社に対して、ワールドワイドで統一したオペレーションを提供できることが強みなのでしょう。

エリア別には、アジア太平洋地域での開拓余地が大きいようです。

Deutsche Post DHL Group 2020 Annual Report より抜粋)

 

日本での事業

現在、ドイツポストDHLには日本に3つの現地法人があります。

一つ目はExpress divisionで国際宅配便を担う事業会社でDHLジャパンです。

1979年設立で、約1,900名の従業員がいます。

 

二つ目はGlobal Forwarding divisionの事業会社で、DHLグローバルフォワーディングジャパンです。

こちらは1999年にドイツポスト傘下に入ったDanzasが1987年に日本に開設した現地法人が前身です。(駐在員事務所は1969年設立)

2006年に現在の社名に変更しています。

従業員数は約380人です。

 

三つ目はSupply Chain divisionの事業会社でDHLサプライチェーンです。

こちらは2005年にドイツポスト傘下に入ったExcelと2000年に合併したMSASグローバルロジスティクスが1974年に開設した現地法人が前身です。

2001年にはエクセルジャパンに、2007年にDHLサプライチェーンに社名変更しています。

従業員数は約1,200人です。

DHL Supply ChainはRetail & Consumer分野に強いことは先述した通りですが、日本ではこれに加えてTechnology分野にも力を入れています。

特に2013年にコニカミノルタの物流子会社、2018年に日東電工の物流子会社、2020年には沖電気工業の物流子会社を買収し、これらのメーカー3社とはLLP契約(Lead Logistics Provider)に基づく戦略的パートナーシップ契約を結んでいます。