【キューネ・アンド・ナーゲル】応募する前に知っておきたい会社の歴史と収益性と事業規模

2021年12月31日

Kuehne + Nagelは1890年にドイツで創業し、現在はスイスに本拠を置くと同時にスイス証券取引所に上場する国際物流企業です。

3PL会社として売上高世界2位です。

【2021年版】世界の3PL大手|グローバル売上高ランキング TOP30

 

歴史

Kuehne + Nagel(以降KNと呼びます)は1890年、Kuehne 氏と Nagel氏によってフォワーディングの取次業としてドイツのブレーメンに設立されました。

Kuehne 氏の死後、その息子兄弟が会社を引き継ぎましたが、第二次世界大戦中はナチスに入党し、ユダヤ人からの略奪を物流面で支援したことが知られています。

この件については、2015年に「恥ずべき歴史(the shameful incidents)」としてKNから正式コメントが出されています。

 

戦後は急速に世界中に物流ネットワークを広げ、1975年には持株会社制にしてホールディング会社をスイスに置いています。

1981年には更に買収資金を得るため50%の株式を英国のコングロマリットLonrhoに売却し、ヨーロッパの有力企業を買収して輸送力を強化していきます。

 

1990年のドイツ再統一後は東ドイツにおけるオペレーションを統合し、1994年にはLonrhoから株式を買い戻した上でスイス証券取引所に上場します。

これにより株式交換による買収を進め易くなったKNは、更なる買収を続け現在に至ります。

その結果、海上フォワーディングの分野では長年世界トップに君臨しています。

航空フォワーディング分野ではDHL Global Forwardingが長年トップに君臨してきましたが、アジアでトップクラスのシェアを持つフォワーダーApexを買収したことにより、2021年度はトップが入れ替わりそうです。

Apexは2001年創業の香港発祥のフォワーダーで、特にアジア発着の航空フォワーディングに強みを持っています。

KNの2020年度の航空輸出取り扱い量は,433千トンですが、Apexのそれはその半分くらいの物量があるため併せると,100千トンくらいになり、王者DHL,667千トンを一気に抜いてしまいます。

買収手続きは既に終了しているため、2021年度の決算ではトップが入れ替わるでしょう。

 

またApexの海上フォワーディングでの取扱量は年間約200千TEUで、KNの,529千TEUと比べると少ないのですが、米国行きのAmazonHP等の所謂「太い客」を抱えています。

こちらもKNと良い補完関係にあると言えるでしょう。

 

収益性

2020年度は売上高25,395百万USDEBT(Earnings Before Taxes),129百万USDで、EBTマージン(EBT/売上高)は.4%です。

EBTは税引き前利益と同じと見なして、日本物流業界の雄である日本通運と比べてみましょう。

2020年度の売上高は19,476百万USD、EBTは796百万USD、EBTマージンは.1%です。

これだけを見ると、いい勝負をしているように見えます。

しかし過去4年間の平均で比べると、KNが.2%であるのに対し日通は.9%と差が開きます。

KNの方が海外機関投資家を意識した業績変動の少ない経営をしていると言えるでしょう。

海外売上比率が25%に届こうかという日通に対して、スイス企業のKNはほとんどが海外売上です。

その点でもフォワーディングを中心とする国際物流に重きを置くKNと、まだまだ国内ビジネスの利幅が大きい日通とでは、ビジネスモデルが全く異なるのかもしれません。

 

もう少し地域別の業績を見てみましょう。

KNではEMEA(Europe, the Middle East and Africa)、AmericasAsia-Pacificの3つにグローバルを分けて業績を公開しています。

 

これを見ると、やはりKNにとってのホームグラウンドである欧州/中東/アフリカで売上の大半を占めていることが分かります。

ところがEBIT(Earnings Before Interest, Taxes)で比べると全く景色が異なります。

 

アジア太平洋地域の比率が増え、欧州/中東/アフリカの比率がだいぶ下がりました。

EBITマージンを比較すると、こうなります。

 

EBITは営業利益に近い指標なので、EBITマージンを営業利益率と読み替えると、16%というのはかなり高い数字です。

欧州物流企業にとってアジア市場なんてチョロイということでしょうか。

そこまでは言わないとしても、規模が仕入力に直に反映されるフォワーディングの世界においてトップのKNの強さがここに現われています。

 

次にセグメント別の利益率を見てみましょう。

KNでは航空フォワーディング海上フォワーディング陸上輸送コントラクトロジスティクス(倉庫/DC運営)の4つにセグメントを分けています。

コロナ前後の2019年、2020年の2年間の平均EBITマージンは次のようになりました。

 

やはり、仕入れ力の高いフォワーディグでの利益率が飛び抜けて高くなっています。

この2つのセグメントが売上で全体の2/3近くを占めているため、ここが儲け処となっているようです。

 

次に、このように強いフォワーディング分野での取り扱い物量航空海上別に見てみましょう。

 

 

このように、海上ではダントツ1位、航空では僅差で2位になっています。

日本勢はトップの日通といえども全く歯が立ちません。

また航空では2位ですが、先述した通りアジア発着の航空フォワーディングに強いApexを買収したため、2021年度は航空でもダントツ1位になると思われます。

 

日本での事業

1982年から日本にも進出していて、現在は400名以上の社員がいます。

ダイバーシティを重視し、女性が多く活躍している職場です。