日本通運に応募する前に知っておきたい会社の強みと弱みを徹底分析!

2021年7月30日

日本通運は日本の物流業界の最大手ですが、米アームストロング&アソシエイツ社の調査では世界でもベスト4にランクインしています。

A&A’s Top 50 Global Third-Party Logistics Providers (3PLs) List より抜粋

 

日本でのランキングはこちら >> 【2021年版】本当の物流会社ランキング|TOP63

 

日本の物流会社はトラック輸送、倉庫、フォワーディングなどのうち、どれか一つか二つの分野に強くて後はおまけという場合が多いのですが、日本通運はいずれにも強いという物流業界のデパートのような存在、または総合商社ならぬ総合物流業者です。

 

なぜそこまで強いのか?

どこで儲けているのか?

今後は何で稼ごうとしているのか?

等を、公開情報を元に探ってみました。

物流会社売上ランキング2021年版 1位)

 

事業別分析

日通の2021年3月期の決算は次のようになっています。

2021年3月期 決算説明会資料 より抜粋

 

売上2兆円営業利益780億円です。

日通はグローバル企業ですので、海外売上がかなり多いのではないかと思われます。

実際どれくらいなのでしょうか?

それは次の表を見れば分かります。

2021年3月期 決算説明会資料 より抜粋

 

海外売上比率は20%のようです。

意外と少ないですね。

大部分を日本で稼いでいることが分かりました。

 

日本での売上構成はどのようになっているのでしょうか?

そこで日通単体の売上構成を見てみましょう。

次のようになっています。

Fact Book 2019 より抜粋

 

2年前のデータですが、今も大きくは変わらないでしょう。

これを見ると、自動車、つまりトラック輸送の割合が3割強と一番大きいことが分かります。

 

海運と航空はほぼフォワーディングと考えて間違いないと思いますが、併せると3割弱あります。

フォワーディングは輸出入ですから、日本からの輸出でも日本への輸入でも、必ず相手国がありますので、海外にある日通の現地法人でもこれに対応する売上があるはずです。

輸出国と輸入国との間でどう売上が配分されるかは、貿易条件によります。

FOBの場合は輸入国側が、CIFの場合は輸出国側の荷主が運賃を負担します。

どちらの荷主が支払うかで、どちらの日通現地法人の売上になるかが決まります。

従って各国間の配分は分かりませんが、仮に50:50とすると海外の現地法人でも同じくらいの売上があることが推察されます。

また、第三国間(海外発海外着)のフォワーディングの場合には、海外現地法人だけにフォワーディングの売上が立ちます。

以上を考慮すると、海外のフォワーディング売上は日本の3,300億円以上はあることが推察されます。

 

また、海外ではトラック輸送倉庫もやっているはずです。

海外売上が4,500億円、うちフォワーディングのそれが3,300億円だとすると、トラック輸送と倉庫を併せて1,200億円ということになります。

本当にそんなに少ないのでしょうか?

 

別の角度から集計した資料がありましたので、そちらを見てみましょう。

 

いずれも日本通運 統合報告書 2020 より抜粋

 

このデータではロジスティクス警備輸送重量品建設物流サポートの4つの事業に分類しています。

そしてロジスティクス(3PL)は各地域別にその内訳まで集計しています。

海外ではロジスティクス以外の事業はない、もしくはあっても僅かだと推察されますので、ロジスティクス事業の各地域別売上高を調べれば、海外事業の内訳が分かりそうです。

計算すると次のようになります。

 

これを見ると、航空フォワーディングでは日本と海外の売上はほぼ同じですが、海運フォワーディングでは日本に売上の3/4も付いていることが分かります。

このことから、グローバルに見ても日系の顧客が多く、その多くが日本側の荷主が船社選択の決定権を持っていることが分かります。

 

トラック輸送については、日本で売上の8近くを占めているということは、海外での内需を取り込めておらず、今後の成長余地があること示唆しています。

 

倉庫についても同様のことが言えるでしょう。

 

その他については、世界計で3,827億円と一番大きな項目になっていますが、通運業が多くを占めると思われます。

通運とは鉄道を使ったフォワーディングですが、戦前は国策により日通が独占していた時期があったため現在でも強い分野です。

但し日本限定ですので、海外比率はほとんどないのだと思われます。

 

以上より、今後国内での成長が見込めない中で海外売上を伸ばしていくためには、フォワーディングにおける非日系顧客の取り込みと、海外、特に新興国の内需を取り込んでいくことが必要になってくるでしょう。

 

産業別分析

日通は総合物流業者ですので幅広い産業の顧客を抱えていますが、産業別の売上データは見つかりませんでした。

但し、今後も力を入れるコア産業については公開しています。

それは電機・電子産業自動車産業アパレル産業医薬品産業の4つです。

2021年3月期 決算説明会資料 より抜粋

 

中でも医薬品産業には力を入れていくようです。

医薬品は重量や容積に対する商品価格が高いため、商品価格に対する物流費の割合は僅かです。

このことを物流費負担能力が高い商品といいます。

そのため荷主はコストよりも物流品質信頼性を重視しますので、日通のような信頼性のある物流会社にとってはおいしい産業なのです。

既に、ここ数年で医薬品用の物流施設に設備投資をしていますので、今後はグローバル医薬品会社に一気に攻勢をかけていくとしています。

現在の売上はまだ小さいため、今後の伸びしろは大きいでしょう。

 

自動車産業については、電気自動車の市場に色々な異業種からの参入が予想され、また従来の垂直統合型サプライチェーンから水平分業型サプライチェーンに変わっていくことも予想されていますので、それに布石を打つ営業活動をかけていくとしています。

 

電機・電子産業については、特に半導体に注力していくとしています。

米中貿易戦争で半導体のサプライチェーンが分断されていくことが予想されていますので、それに向けた布石を打っていくのでしょう。

 

これら3つの産業は、冒頭に紹介した世界物流会社ランキングで20位近鉄エクスプレスもグローバルに注力していくことを表明しています。

今後、どのような戦いになるのか楽しみです。(他人ごと^ ^)

A&A’s Top 50 Global Third-Party Logistics Providers (3PLs) List より抜粋