【2021年版】3PLグローバル売上高ランキング 30社|事業セグメント別に独自調査
日本で売上高No.1の物流会社は日本通運ですが、世界ランキングではどのくらいの位置になるのでしょうか?
世界でも競争力のある自動車業界では、日本No.1のトヨタ自動車は世界でもNo.1です。
一方、食品業界では、日本No.1のサントリーでさえ世界では20位くらいです。
そこで、物流業界の世界ランキングを作成してみました。
このランキングには日本に進出している有名な外資系物流会社も多く出てきますので、それらの会社の売上高が世界でどのくらいの位置にあるのかも分かります。
調査方法
まずは物流会社といっても人によって定義が異なりますので、3PLプロバイダーに限定しました。
3PL(サードパーティロジスティクス)にも様々な定義がありますが、ここでは次のように定義しました。
- 自社と他社の資産を組み合わせ、顧客のサプライチェーン関連業務を包括的または部分的に請け負う事業
- 宅配便や郵便等、自社のタリフに基づいて不特定多数の配送を行う事業は除外
- 海運、空運、鉄道の実運送事業は除外
- 上記の事業を複合的に行う企業の場合は、1のみを抽出
要は、顧客の要望に合わせて業務をカスタマイズするのではなく、自社のプラットフォームに載せるだけの事業は除外しました。
(但し、共同物流を発展させた同一業界向けの物流プラットフォーム事業は3PLに含めています)
その意味では、【2021年最新版】物流会社の売上高トップ63社をランキング!|7つの財務指標で徹底比較の基準より厳しくしています。
調査方法としては、まず下記のサイトを参照してグローバル3PL企業の候補を探索しました。
>> Top 100 Logistics Companies in The World
>> Top 100 US and Global 3PL Companies [2021]
そしてこれらの企業の事業内容と売上高を、企業サイト等の公開情報から調べました。
従って、大企業であってもファミリー企業等で財務諸表が公開されていない会社は、ランキングから除外しています。
会計に使用する機能通貨は様々ですが、すべて米ドルに換算しました。
換算レートは、2020年1月1日から2020年12月31日までの平均スポットレートを使用しました。
決算期は国により、会社により異なりますが、すべて上記の期間の平均レートで米ドルに換算しています。
世界の3PL企業の売上高ランキングトップ30社は次のようになりました。
意外なことに日本の物流会社が7社も含まれています!(日本郵政傘下のTOLLも日本の物流会社とカウントすれば8社)
2023年版もこちらで公開しています。
売上高ランキング
1位 DHL Supply Chain + DHL Global Forwarding(30,343百万USD)
ドイツ連邦郵便が民営化して買収を重ねたDeutsche Post DHLグループは郵便、Express(国際宅配便)、Global Forwarding & Freight(フォワーディング)、Supply Chain(ロジスティクス)、eCommerce SolutionsのDivisionに分かれています。
その中でGlobal Forwarding & FreightとSupply Chainの売上高を合計したものです。
内訳は、
Air Forwarding:6,545百万USD
Ocean Forwarding:3,670百万USD
Other Freight:4,634百万USD
Supply Chain:13,371百万USD
となっています。(除内部調整)
日本にもExpress divisionのDHLジャパン、Global Forwarding & Freight divisionのDHL グローバルフォワーディングジャパン、Supply Chain divisionのDHLサプライチェーンの日本法人があります。
2位 Kuehne + Nagel(25,395百万USD)
1890年創業のスイス物流大手。
売上の内訳は、
Air Forwarding:6,204百万USD
Ocean Forwarding:9,570百万USD
Road Freight:3,875百万USD
Contract Logistics:5,747百万USD
となっています。
日本にも現地法人キューネ・アンド・ナーゲル株式会社があります。
3位 DB Schenker(20,110百万USD)
ドイツ鉄道(Deutsche Bahn AG)のロジスティクス事業を担うDB Schenkerの売上高。
内訳は、
Air & Ocean Freight:8,228百万USD
Land Freight:6,716百万USD
Contract Logistics:2,715百万USD
となっています。
日本には西濃運輸との合弁会社、西濃シェンカーがあります。
4位 Nippon Express(19,476百万USD)
日本通運については、こちらを参照下さい。
5位 DSV(17,761百万USD)
1976年創業のデンマーク物流大手。
2019年にスイスの物流大手Panalpinaを買収し、2021年4月にはクエートの物流大手Agility(本ランキング21位)のGlobal Integrated Logistics(GIL)事業を買収しました。
内訳は、
Air & Ocean Freight:12,094百万USD
Road Freight:4,988百万USD
Contract Logistics:2,397百万USD
となっています。
日本法人はディエスヴィ・エアーシー株式会社です。
6位 XPO Logistics(16,252百万USD)
米国でのトラック輸送を主力としているため、陸上輸送業務の売上が大半。
倉庫業務と思われるロジスティクス部門の売上は6,182百万USDです。
7位 C.H. Robinson(16,207百万USD)
こちらも米国のトラック輸送を主力としており、陸上輸送業務の売上が大半。
内訳は、
Air & Ocean Freight:3,101百万USD
Road Freight:11,313百万USD
Contract Logistics:1,794百万USD
となっています。
日本にも法人がありましたが、2019年に閉鎖したようです。
山九と国際物流代理店契約を結んでいます。
8位 UPS Supply Chain Solutions(15,184百万USD)
FedExと並ぶ米国の国際宅配便大手UPS(United Parcel Service)のロジスティクス部門を担う事業会社。
内訳は、
Air & Ocean Freight:6,975百万USD
Road Freight:3,149百万USD
Contract Logistics:4,073百万USD
となっています。
日本にはUPSサプライチャーンジャパンの他、国際宅配便の現地法人UPSジャパンもあります。
9位 Expeditors International(10,116百万USD)
米国発祥のフォワーディングを主力とする物流会社。
内訳は、
Air Forwarding:4,784百万USD
Ocean Forwarding:2,353百万USD
Customs Brokerage & Others:2,979百万USD
となっています。
日本にもエクスペダイターズ・ジャパンがあります。
10位 J.B. Hunt(9,637百万USD)
米国のトラック輸送を主力としており、陸上輸送業務の売上が大半。
11位 GEODIS(9,433百万USD)
フランス国鉄(SNCF)のロジスティクスdivision。
Freight ForwardingからContract Logisticsまで幅広く手掛けています。
日本にもジオディス・ジャパンがあります。
12位 CJ Logistics(8,625百万USD)
韓国のコングロマリットCJグループは、サムスングループと同じ源流です。
売上の内訳はフォワーディングが40%、宅配便が30%、Contract Logisticsが25%です。
日本にもCJロジスティクスジャパンがあります。
13位 CEVA Logistics(7,506百万USD)
TNT LogisticsとEGLが合併して2006年にできた物流会社です。
その後、2019年にフランスの大手海運会社CMA CGMに買収され、同グループのロジスティクス事業を担っています。
日本にもシーバロジスティクスジャパンがあります。
14位 TOLL Holdings(7,024百万USD)
オーストラリアの大手物流会社で、アジア太平洋地域に広く事業を展開しています。
2015年に日本郵便に買収され、同社のロジスティクス事業を担っています。
日本にもトールエクスプレスジャパンがあります。
15位 Maersk Logistics(6,963百万USD)
デンマークに本拠を置く世界最大の海運会社Maersk Lineのロジスティクス部門の売上高です。
内訳は、
Air Forwarding:780百万USD
Ocean Forwarding:460百万USD
Road Freight:527百万USD
Intermodal:2,736百万USD
Supply Chain Management:961百万USD
となっています。
日本にはマースクラインA/Sの日本支社があります。
16位 Kerry Logistics(6,878百万USD)
香港の大手物流企業で、アジアに強力なネットワークを持っています。
内訳は、
Air & Ocean Freight:4,118百万USD
Contract Logistics:2,732百万USD
となっています。
日本にもケリーロジスティクスジャパンがあります。
17位 Bolloré Logistics(6,782百万USD)
フランスのコングロマリットTHE BOLLORÉ GROUPの輸送・物流部門です。
内訳は、
アフリカ物流:2,793百万USD
それ以外:3,989百万USD
となっています。
日本にもボロレ・ロジスティクス・ジャパンがあります。
18位 Hitachi Transport System(6,111百万USD)
日立物流については、こちらを参照下さい。
19位 Kintetsu World Express(5,706百万USD)
近鉄エクスプレスについては、こちらを参照下さい。
20位 Senko Group(5,362百万USD)
センコーについては、こちらを参照下さい。
21位 Agility(5,284百万USD)
クウェートの物流最大手で中東、アフリカ、南アジアに広いネットワークを持っています。
2021年4月にGlobal Integrated Logistics(GIL)事業はDSVに吸収されました。
日本にもアジリティ株式会社があります。
22位 Yusen Logistics(5,257百万USD)
郵船ロジスティクスは、日本の海運最大手である日本郵船の物流事業会社です。
2018年に上場廃止しているため、日本郵船の物流事業の売上高を参照しました。
23位 Sankyu(5,001百万USD)
山九については、こちらを参照下さい。
24位 Seino Holdings(4,370百万USD)
セイノーホールディングスについては、こちらを参照下さい。
25位 GEFCO(4,345百万USD)
車のプジョーシトロエンで有名なPSA Groupの物流事業会社です。
2012年に株式の75%がロシア鉄道に売却されましたが、PSA Groupの物流事業は引き続き行っています。
伊藤忠ロジと日欧間の一貫輸送で提携しています。
26位 Schneider(4,235百万USD)
米国のトラック輸送を主力とする物流会社です。
内訳は、
Truckload:2,826百万USD
Intermodal and Logistics:1,129百万USD
となっています。
27位 Landstar System(4,133百万USD)
米国のトラック輸送を主力とする物流企業で、独立のセールスエージェントを介した輸送能力の調達を強みとしています。
28位 Ryder System(3,773百万USD)
トラックのリース、メンテナンスを請け負うフリートマネジメント事業の米国における大手企業ですが、物流事業も行っています。
物流事業の内訳は次の通りです。
Supply Chain:2,544百万USD
Dedicated Transportation Solutions:1,229百万USD
29位 Hub Group(3,496百万USD)
北米でトラック輸送サービスを提供している会社です。
内訳は、
Intermodal:2,092百万USD
Logistics:705百万USD
Truck Brokerage:431百万USD
Dedicated Trucking:268百万USD
となっています。
30位 Imperial Logistics(3,183百万USD)
ドイツの物流会社ですがアフリカ市場に注力しており、南アフリカに上場しています。
物流事業をバックボーンに自ら在庫を所有する商社事業も、Market Accessという看板の元に行っています。
内訳は、
Market Access:924百万USD
Freight:1,474百万USD
Contract Logistics:784百万USD
となっています。