【2023年版】世界の3PL大手|グローバル売上高ランキング TOP28
前回の3PLランキング【2021年版】3PLグローバル売上高ランキング 30社|事業セグメント別に独自調査を2年ぶりに更新しました。
調査対象は継続性重視で同じ30社としました。
でも今回は28社に減っています。
理由は次の通りです。
- Agilityのロジスティクス部門がDSVに吸収されランク外に落ちた
- GEFCOがCMA CGM傘下のCEVA Logisticsに吸収された
- Imperial LogisticsがUAEの物流大手DP Worldに吸収された。DP Worldを調査対象として新たに加えた
世界の3PL大手はM&Aを盛んに行っていること、コロナ禍でフォワーディングの売上高が嵩上げされたこと、円安が進んだこと等から順位が大きく変動しています。
売上高は2022年1月1日から2022年12月31日までの平均スポットレートですべて米ドルに換算しました。
また世界では12月決算が主流なため2022年1月1日から2022年12月31日の売上高ですが、日本では3月決算が主流のため2022年4月1日から2023年3月31日の売上高になっています。
但し、2023年3月の決算がまだ終わっていない会社については2022年3月期の売上高を使っています。
「なぜヤマトや佐川が入ってないんだ!」
と思われるかもしれませんが、宅配便は3PLに含めていません。
3PLにはいろいろな定義の仕方がありますが、本サイトにおける定義については
【2021年版】3PLグローバル売上高ランキング 30社|事業セグメント別に独自調査
や
3PL(サードパーティロジステイクス)とは?|1PLから5PLまでの定義をまとめてみた
を参照下さい。
- 1. 1位 DHL Supply Chain + DHL Global Forwarding(49,046百万USD)
- 2. 2位 Kuehne + Nagel(45,062百万USD)
- 3. 3位 DSV(33,300百万USD)
- 4. 4位 DB Schenker(28,998百万USD)
- 5. 5位 C.H. Robinson(22,639百万USD)
- 6. 6位 Nippon Express(19,921百万USD)
- 7. 7位 Expeditors International(17,071百万USD)
- 8. 8位 UPS Supply Chain Solutions(16,431百万USD)
- 9. 9位 CEVA Logistics(16,090百万USD)
- 10. 10位 J.B. Hunt(14,814百万USD)
- 11. 11位 GEODIS(14,430百万USD)
- 12. 12位 Maersk Logistics(14,423百万USD)
- 13. 13位 Kerry Logistics(11,065百万USD)
- 14. 14位 XPO Logistics(7,718百万USD)
- 15. 15位 Bolloré Logistics(7,477百万USD)
- 16. 16位 Landstar System(7,437百万USD)
- 17. 17位 Kintetsu World Express(7,185百万USD)
- 18. 18位 DP World(6,646百万USD)
- 19. 19位 Yusen Logistics(6,560百万USD)
- 20. 20位 Ryder System(6,506百万USD)
- 21. 21位 CJ Logistics(6,044百万USD)
- 22. 22位 Schneider(5,742百万USD)
- 23. 23位 LOGISTEED(5,657百万USD)
- 24. 24位 Hub Group(5,340百万USD)
- 25. 25位 Japan Post(5,232百万USD)
- 26. 26位 Senko Group(4,740百万USD)
- 27. 27位 Seino Holdings(4,623百万USD)
- 28. 28位 Sankyu(4,406百万USD)
1位 DHL Supply Chain + DHL Global Forwarding(49,046百万USD)
ドイツ連邦郵便が民営化して買収を重ねたDeutsche Post DHLグループは郵便、Express(国際宅配便)、Global Forwarding & Freight(フォワーディング)、Supply Chain(ロジスティクス)、eCommerce SolutionsのDivisionに分かれていますが、その中のGlobal Forwarding & FreightとSupply Chainの売上高を合計したものです。
Global Forwarding & FreightはDHL Global Forwardingが、Supply ChainはDHL Supply Chainの事業会社がそれぞれ担っています。
内訳は、
Air Forwarding:10,965百万USD
Ocean Forwarding:12,068百万USD
Other Freight:8,735百万USD
Supply Chain:17,278百万USD
となっています。
世界のメガフォワーダーの中ではSupply Chain(Contract Logistics)部門の売上高比率が高いのが特徴です。
【DHL】応募する前に知っておきたい会社の歴史と収益性と事業内容
2位 Kuehne + Nagel(45,062百万USD)
1890年創業のスイス物流大手。
内訳は、
Air Forwarding:12,940百万USD
Ocean Forwarding:21,579百万USD
Road Freight:4,810百万USD
Contract Logistics:5,732百万USD
となっています。
2年前と比較するとAir Forwarding、Ocean Forwardingともに2倍以上に増えています。
DHLも増えているのですがK&Nの増え方の方が大きかったため、貨物量で見た世界トップ3のシェアは次のようになっています。
KUEHNE+NAGEL Annual Report 2022 より抜粋
一方でContract Logistics部門はほとんど増えていません。
DHLの1/3ほどしかなく、戦略の違いが鮮明です。
【キューネ・アンド・ナーゲル】応募する前に知っておきたい会社の歴史と収益性と事業内容
3位 DSV(33,300百万USD)
1976年創業のデンマーク物流大手。
2021年4月にはクエートの物流大手Agility(2020年ランキング21位)のGlobal Integrated Logistics(GIL)事業を買収し、Contract Logistics部門の売上を伸ばしました。
フォワーディングもコロナ効果によりほぼ倍増した結果、世界3位に躍進しました。
内訳は、
Air Forwarding:12,801百万USD
Ocean Forwarding:11,847百万USD
Road Freight:5,865百万USD
Contract Logistics:3,449百万USD
となっています。
【DSV】応募する前に知っておきたい会社の歴史と収益性と事業内容
4位 DB Schenker(28,998百万USD)
ドイツ鉄道(Deutsche Bahn AG)のロジスティクス事業を担うDB Schenkerの売上高。
内訳は、
Air & Ocean Freight:17,382百万USD
Land Freight:8,257百万USD
Contract Logistics:3,360百万USD
となっています。
【DBシェンカー】応募する前に知っておきたい会社の歴史と収益性と事業内容
5位 C.H. Robinson(22,639百万USD)
米国のトラック輸送を主力としており、陸上輸送業務の売上が大半。
内訳は、
Air & Ocean Freight:6,812百万USD
Road Freight:15,827百万USD
となっています。
山九と国際物流代理店契約を結んでいます。
6位 Nippon Express(19,921百万USD)
2年前と比較して日本円ベースでは20%の売上増ですが、円安により米ドルベースではほぼ横這いです。
この間に世界のトップ3は大きく売上を伸ばしたため、差は広がりました。
日本通運の売上高/事業内容/強みを物流業界経験者がわかりやすく解説します
7位 Expeditors International(17,071百万USD)
米国発祥のフォワーディングを主力とする物流会社。
米国の会社なのに、レイオフをしない社員に優しい会社として有名です。
内訳は、
Air Forwarding:5,887百万USD
Ocean Forwarding:6,544百万USD
Customs Brokerage & Others:4,640百万USD
となっています。
【エクスペダイターズ】応募する前に知っておきたい会社の歴史と収益性と事業内容
8位 UPS Supply Chain Solutions(16,431百万USD)
FedExと並ぶ米国の国際宅配便大手UPS(United Parcel Service)のロジスティクス部門を担う事業会社。
Deutsche Post DHLグループにおけるDHL Supply Chain とDHL Global Forwardingを合わせたような事業内容です。
内訳は、
Air & Ocean Freight:8,943百万USD
Road Freight:2,137百万USD
Contract Logistics:5,351百万USD
となっています。
【UPS】応募する前に知っておきたい会社の歴史と収益性と事業内容
9位 CEVA Logistics(16,090百万USD)
TNT LogisticsとEGLが合併して2006年にできた物流会社です。
その後、2019年にフランスの大手海運会社CMA CGMに買収され、同グループのロジスティクス事業を担っています。
2022年に車のプジョーシトロエンで有名なPSA Groupの物流事業会社であるGEFCO(2020年ランキング25位)を買収し自動車物流事業の売上を大きく伸ばし、2年前に比べ売上を2倍以上に伸ばしました。
【シーバロジスティクス】応募する前に知っておきたい会社の歴史と収益性と事業内容
10位 J.B. Hunt(14,814百万USD)
米国の国内トラック輸送を主力としており、陸上輸送業務の売上が大半ですが、過去10年間は右肩上がりで伸びています。
Notice of Annual Meeting, Proxy Statement and Annual Report 2022 より抜粋
11位 GEODIS(14,430百万USD)
フランス国鉄(SNCF)のロジスティクスdivision。
Freight ForwardingからContract Logisticsまで幅広く手掛けています。
12位 Maersk Logistics(14,423百万USD)
デンマークに本拠を置く世界最大の海運会社Maersk LineのLogistics & Service部門の売上高です。
2020年まではDamcoブランドで知られていました。
過去3年間で売上高は倍以上に増えていますが、その半分くらいはM&Aによるものです。
中でも大きかったのは2021年12月に買収を発表した香港のLF Logisticsです。
【マースク】応募する前に知っておきたい会社の歴史と収益性と事業内容
13位 Kerry Logistics(11,065百万USD)
香港の大手物流企業で、アジアに強力なネットワークを持っています。
内訳は、
Air & Ocean Freight:8,607百万USD
Contract Logistics:2,458百万USD
となっています。
【ケリー】応募する前に知っておきたい会社の歴史と収益性と事業内容
14位 XPO Logistics(7,718百万USD)
米国でのトラック輸送を主力としているため、陸上輸送業務の売上が大半。
2020年の売上高は16,252百万USDありましたが、その後、段階的に三分割され、7,718百万USDという売上高は2020年に6,182百万USDあったロジスティクス部門の売上高を継承する数字です。
2023年からは混載トラック業のXPO、ロジスティクス業のGXO Logistics、通関その他サービスのRXOに分かれています。
15位 Bolloré Logistics(7,477百万USD)
フランスのコングロマリットTHE BOLLORÉ GROUPの輸送・物流部門です。
歴史的なつながりからアフリカ物流を得意としています。
16位 Landstar System(7,437百万USD)
米国のトラック輸送を主力とする物流企業で、独立のセールスエージェントを介した輸送能力の調達を強みとしています。
17位 Kintetsu World Express(7,185百万USD)
2年前から日本の物流会社でランキング順位を上げたのは近鉄エクスプレスと郵船ロジスティクスだけです。
主力のフォワーディングにおけるコロナ効果が円安デメリットを上回った結果でしょう。
近鉄エクスプレスの売上高/事業内容/強みを物流業界経験者がわかりやすく解説します
18位 DP World(6,646百万USD)
世界で52個のコンテナターミナルを運営するメガオペレーターですが、ロジスティクス事業にも力を入れています。
6,646百万USDはロジスティクス事業のみの数字です。
2022年にはドイツの3PL企業でありながらアフリカ市場に注力していて南アフリカに上場していたImperial Logisticsを買収しています。
19位 Yusen Logistics(6,560百万USD)
郵船ロジスティクスは、日本の海運最大手である日本郵船の物流事業会社です。
2018年に上場廃止しているため、日本郵船の物流事業の売上高を参照しました。
20位 Ryder System(6,506百万USD)
トラックのリース、メンテナンスを請け負うフリートマネジメント事業の米国における大手企業ですが、物流事業も行っています。
物流事業の内訳は次の通りです。
Supply Chain:4,720百万USD
Dedicated Transportation Solutions:1,786百万USD
21位 CJ Logistics(6,044百万USD)
韓国のコングロマリットCJグループは、サムスングループと同じ源流です。
売上の内訳はフォワーディングが45%、宅配便が30%、Contract Logisticsが25%です。
6,044百万USDはフォワーディングとContract Logisticsの合計です。
22位 Schneider(5,742百万USD)
米国のトラック輸送を主力とする物流会社です。
内訳は、
Truckload:2,237百万USD
Intermodal :1,287百万USD
Logistics:1,956百万USD
となっています。
23位 LOGISTEED(5,657百万USD)
ロジスティード(元日立物流)については、こちらを参照下さい。
日立物流の売上高/事業内容/強みを物流業界経験者がわかりやすく解説します
24位 Hub Group(5,340百万USD)
北米でトラック輸送サービスを提供している会社です。
内訳は、
Intermodal and transportation solution:3,302百万USD
Logistics:1,050百万USD
Truck Brokerage:431百万USD
となっています。
25位 Japan Post(5,232百万USD)
TOLLはオーストラリアの大手物流会社で、アジア太平洋地域に広く事業を展開しています。
2015年に日本郵便に買収され、同社の国際物流事業を担っています。
2021年にTOLLのエクスプレス事業をAllegro Fund Pte Ltdに売却したため、フォワーディング事業とロジスティクス事業の売上高です。
26位 Senko Group(4,740百万USD)
センコーについては、こちらを参照下さい。
センコーグループHDの売上高/事業内容/強みを物流業界経験者がわかりやすく解説します
27位 Seino Holdings(4,623百万USD)
セイノーホールディングスについては、こちらを参照下さい。
セイノーホールディングスの売上高/事業内容/強みを物流業界経験者がわかりやすく解説
28位 Sankyu(4,406百万USD)
山九については、こちらを参照下さい。
山九の売上/事業内容/強みを物流業界経験者がわかりやすく解説します