3PL(サードパーティロジステイクス)とは?|1PLから5PLまでの誕生の歴史を徹底調査

2021年7月29日

3PL(サードパーティロジスティクス)とは何でしょうか?

4PLもあり、最近は5PLという言葉まで耳にするようになりました。

1PLは?

2PLは?

人により色々な解釈がありますが、ネットで最大公約数の解釈を探ってみました。

 

日本における3PLの解釈

物流最大手の日本通運では次のように解釈しています。

「一般的に荷主に対して物流改革を提案し、包括して物流業務を受託し遂行することを言います。基本的には、荷主運送業者という「利益相反」する関係による不都合を解決するために、ノウハウを持った第三者(日本では運送業者と同一である場合もある)が、荷主の立場にたって、ロジスティクスの企画・設計・運営を行う事業が「3PL」だと考えられています。」

>> 3PL(サードパーティー・ロジスティクス)とは?

 

要約すると、

荷主に対して荷主の立場で物流改革を提案し、包括して物流業務を受託し遂行すること

ということになり、他のサイトを見ても大体同じようなことが書いてあります。

これについては良しとしましょう。

 

ところで、サードパーティ(第三者)というからにはファーストパーティセカンドパーティもあるはず。

気になりますね。

日本通運では次のように解釈しています。

3PL(サードパーティー・ロジスティクス)とは?より引用

つまり、

ファーストパーティ=貨物を送る側の会社(発荷主)

セカンドパーティ=貨物を受け取る側の会社(着荷主)

サードパーティ=物流会社

 

荷主とは物流業務を依頼する人、もしくは会社のことで、違う言い方をすれば貨物の所有者のことです。

従って、ファーストパーティとセカンドパーティは貨物の所有者で、所有権のしがらみのない第三者である物流業者が

荷主に対して荷主の立場で物流改革を提案し、包括して物流業務を受託し遂行すること

を行うことを3PLというわけです。

 

一方、3PL最大手の日立物流では次のように解釈しています。

ファーストパーティ=荷主

セカンドパーティ=限られた業務機能だけを提供する物流会社

サードパーティ=包括して業務を提供する物流会社

>> 株式会社日立物流個人投資家向けIRセミナー

 

日本通運の解釈とは違いますね。

 

それでは、日本の物流を司る国土交通省はどう解釈しているのでしょうか。

ここも、

荷主でもない、単なる運送事業者でもない、第三者として、、、」

としていますので、日立物流と同じ解釈です。

>> 国土交通省3PL事業の総合支援

 

日本人の知識の集合体である日本語版ウィキペディアではどうでしょうか。

ここはさすがですねえ。

両方の解釈があると書いてあります。

直接取引に関与しない「第三者」業者と、従来の「荷主」と「物流業者」以外の、新たな「第三の企業」という意味がある

>> サード・パーティー・ロジスティクス – Wikipedia

 

私が調べたところ日本通運の解釈は少数派ですが、日本には一応2つの解釈があるようです。

 

米国における3PLの解釈

まずは英語版Wikipediaを見てみましょう。

次のように解釈しています。

 

ファーストパーティ=地域限定で輸送や倉庫などの単一機能を提供する業者(荷主もトラックや倉庫などのアセットを持っていればファーストパーティになれる)

セカンドパーティ=全国レベル、もしくは国際レベルでサービスを提供する物流事業者

サードパーティ=セカンドパーティの機能に加えて、荷主のシステムとリンクさせてオーダーメイドのサービスを提供する物流事業者

>> Third-party logistics / WIKIPEDIA

 

日本における2つの解釈のいずれとも違うように見えますが、主流派である

荷主と物流業者以外の新たな第三者が包括的に物流業務を請け負うこと

という解釈に近いですね。

 

次に世界的に権威のあるサプライチェーンマネジメントの協議会であるThe Council of Supply Chain Management Professionals (CSCMP)の解釈を見てみましょう。

下記サイトから用語集がダウンロードできるようになっていて、次のように定義しています。

https://cscmp.org/CSCMP/Educate/SCM_Definitions_and_Glossary_of_Terms/CSCMP/Educate/SCM_Definitions_and_Glossary_of_Terms.aspx?hkey=60879588-f65f-4ab5-8c4b-6878815ef921#:~:text=CSCMP%E2%80%99s%20Definition%20of%20Supply%20Chain%20Management%20Supply%20chain,and%20procurement%2C%20conversion%2C%20and%20all%20logistics%20management%20activities.

CSCMP-Glossaryより引用

 

ここには3PLの言葉の起源から現在における解釈まで書いてあります。

1970年代に複合一貫輸送会社が3PLという言葉を使ったのが起源だそうです。

米国では国土が広く貨物鉄道網が発達しています。

しかし荷主が貨物鉄道会社と直接やり取りすることは今ではほぼなく、間に仲介業者が入ります。

これがIntermodal marketing companies(IMCs)と呼ばれる業者で、日本語では複合一貫輸送業者とほぼ同じ意味です。

昔は荷主と貨物鉄道会社が直接契約していた時代があったのでしょう。

1970年代にお互い面倒臭くなって仲介業者が入るようになり、その契約の中で荷主でも鉄道会社でもない第三者の仲介業者=複合一貫輸送業者を3PLと呼ぶようになったとのことです。

 

この歴史に基づくと、日本で主流の解釈

ファーストパーティ=荷主

セカンドパーティ=単機能を提供する物流業者

というのが正しいことになりますね。

 

更にCSCMPでは、その後3PLが広義に解釈されるようになり、何かしらの物流サービスを提供している物流会社はすべて3PLと呼ばれるようになっていると述べています。

物流会社としては3PLと呼ばれる方がカッコいいので、皆自らをそのように称しているというのも原因のひとつだと思います。

とはいえ、CSCMPでは3PLにとって提供される物流サービスは包括的であることが望ましいとしています。

ちなみに2008年の米国の閣議決定では、貨物の所有権を有しない物流会社はすべて3PLと定義しています。

実情を後追いした解釈といえるでしょう。

 

4PLとは

4PLは1996年にアクセンチュア(当時のアンダーセンコンサルティング)が提唱したのが始まりとされています。

>> 3PLs, 4PLs, and beyond …|2020-08-19|CSCMP’s Supply Chain

3PLの節で紹介したように、3PLが広義に解釈されていくに従って、戦略立案や企画といった上流の機能が抜け落ちた3PLが増えていきました。

そこで、サプライチェーンの上流企画に強いアクセンチュアが差別化のために提唱したのだと言われています。

 

4PLの特徴は次の通りです。

  1. 本来荷主が行う物流企画機能(インソースとアウトソースの区分け、物流ネットワークの設計、KPIの設定/モニタリング等)を請け負う
  2. 荷主が複数の3PLを採用している場合には、それらのまとめ役としてワンストップの窓口になる
  3. すべての物流会社から中立の立場を貫く
  4. アセットはあってもなくても良い

 

つまり、3PLの進化版で、企画機能を高めたものが4PLといえるでしょう。

実際、3PLを請け負っている物流会社の中には4PLと呼んでもおかしくないほど企画機能を任されている例もあります。

 

4PLはLLP(Lead Logistics Provider)とも呼ばれます。

 

5PLとは

日本ではまだあまり聞きませんが、英語のサイトで検索すると5PLという単語が沢山出てきます。

まだその定義が固まっているとは言えませんが、概ね次のように解釈されています。

  1. 4PLはサプライチェーンの最適化を考える。5PLサプライネットワークの最適化を考える
  2. 4PLはメーカーや卸など従来型の産業向け。5PLeコマース向け

 

1については、サプライチェーンサプライネットワークの違いを抑えておく必要があります。

例えば、リンゴジュースメーカーのサプライチェーンは、リンゴ農家から原料としてリンゴを仕入れ、工場でリンゴジュースを製造して、中央物流センターに輸送し、地域物流センターを経て、スーパーなどに配送するというものです。

What is a Supply Chain Network?より引用

 

一方、サプライチェーンネットワークでは容器やラベルなどの副資材の仕入れも考えます。

つまり、複数のサプライチェーンが合わさったものです。

また、スーパーなどの小売会社から売上データを共有させてもらって、それを製造や仕入れ計画に反映させるなどの情報流も含まれます。

What is a Supply Chain Network?より引用

 

これらを包含したサプライネットワークの最適化を、企画段階から実際のオペレーションまで荷主に変わって行うというものです。

 

もう一つのポイントは、最近隆盛のeコマース物流の企画から実施までを請け負うというものです。

この場合、商品の仕入れ先は膨大で、しかも自社で在庫する場合としない場合(ドロップシップ)があります。

その区分けをどうするのが最適か、ドロップシップする場合には仕入先のどの拠点から発送するか、また複数の仕入先の商品を途中で積み合せた方がいいか、受発注データのやり取りをどうすればいいか、AIで需要予測をするか等、考えることは沢山あります。

これも多数の仕入先からなるサプライネットワークの最適化ということになりますね。

つまり、4PLはサプライチェーンの最適化まで、5PLは複数のサプライチャーンが合わさったサプライネットワークの最適化までが守備範囲ということです。

 

もう一つの面白い解釈として、4PLは複数の3PLを荷主に代わって単にワンストップで管理すること、5PLは複数の3PLが扱っている貨物を集約して、更にボリューム効果を狙うことという考え方もあります。

これも5PLは複数のサプライチェーンを一つのサプライネットワークとしてまとめて管理できるが故の芸当ということもできます。

4PL

 

5PL

3PL, 4PL, and 5PL Explainedより引用

 

まとめ

最大公約数の解釈をまとめると次のようになりました。

 

3PLとは?

荷主に対して荷主の立場で物流改革を提案し、包括して物流業務を受託し遂行すること。

元々、荷主(ファーストパーティ)でも実運送業者(セカンドパーティ)でもない、仲介業者(サードパーティ)が包括して物流業務を請け負うことを3PLと呼んでいたが、徐々に変化し、今では物流会社は3PL業者と呼ばれるようになっている。

 

4PLとは?

3PLのコモディティ化が進んだため、それと差別化するために4PLという概念が出現した。

本来、荷主が担う物流企画機能までを、すべての3PL業者から中立の立場で代行する。

 

5PLとは?

複数のサプライチェーンをまとめたサプライネットワークの最適化について、物流企画機能から代行する。

主にeコマース向けに出てきた概念で、それぞれのサプライチェーンを担う複数の3PLの物量をまとめて更なるボリューム効果を狙うことを目的とする。