【L/C決済編】仲介貿易(三国間貿易)の注意点を決済方法別にわかりやすく

2021年11月27日

ネットショッピングでは注文を受けてもその人がモノを発送せずに、メーカーなどから直接消費者に発送してもらうような無在庫販売のビジネスモデルがあります。

これはドロップシッピングと呼ばれ、ネットショッピングで届いた小包の発送元を見ると、意外と多いことに気づかされます。

これと同じことが国際貿易でも行われていて、仲介貿易とか三国間貿易と呼ばれています。

 

【通常の二国間貿易】

 

【仲介貿易(三国間貿易)】

 

B to Cのネットショッピングの場合は、大体買い手が料金を前払いしますが、B to Bの仲介貿易では売り手が余程信用できる会社でない限りそんなことはしません。

国際取引では性悪説が基本なのです。

また逆に買い手が余程信用できる会社でないと、料金後払いもしません。

前払いでは買い手のリスクが大きすぎ、後払いでは売り手のリスクが大きすぎるのです。

 

そのため、国際貿易ではL/C(信用状)を使った取引がよく行われます。

これは銀行が間に入って、リスクを引き受けてくれるサービスです。

売り手は予め決められた貿易書類を銀行に提出すれば、銀行からの支払いを保証されます。

その代わり、銀行は目を皿のようにして書類に間違いがないかをチェックします。

銀行がそこまでチェックしてくれた書類なら騙されることはないだろうと考え、買い手はその書類を安心して買い取れます。

 

このように売り手、買い手の双方にメリットのあるL/C取引ですが、仲介貿易では仲介者が入ることによりプレーヤーが一人増えます。

そこで、

どういうオペレーションフローになるのか?

何に注意すべきか?

について、以下解説していきます。

 

なぜ仲介貿易をするのか?

ところで、そもそも何の目的で仲介貿易をするのでしょうか?

仲介者が間でピンハネすることがわかっていながら、なぜ買い手も売り手も納得するのでしょうか?

 

その一番大きな理由は、信用コストの低減です

例えば買い手が日本のメーカーで、付き合いのある商社の香港現地法人から中国本土の部品サプライヤーを紹介されたとしましょう。

日本のメーカーとしてはいくら良い部品メーカーですよと言われても、支払いや品質等の面で心配です。

そんな時に、商社が間に入ってそれらのリスクヘッジをしてくれるなら有り難いですね。

紹介してくれた商社に対する恩義もあるかもしれません。

 

また例えば、タイの子会社が中国のサプライヤーから部品を仕入れるのに、親会社が窓口となってより強い購買力で有利な値段を引き出したいというケースもあります。

この場合は親会社が仲介者となります。

 

もちろん、これらのような美しいモデルだけではありません。

買い手も売り手も直接商売する方がお互いメリットがあると思っている場合でも、仲介者が経済的な理由でどうしても鞘を抜きたいという場合もあります。

そのような場合には、買い手と売り手が直接貿易(直貿)をしないように、買い手が売り手の正体をわからないように隠す必要があります。

そのために、輸出通関用に使ったB/L(船荷証券)を第三国で切り替えるスイッチB/Lという面倒なオペレーションを行うケースもあります。

(買い手によるEPAによる関税低減というメリットがなくなるにも拘わらず。また大手物流会社の一部はスイッチB/Lを禁止している)

 

またよくあるのが、買い手の海外現地法人が仲介者になるケースです。

例えば、日本の親会社が中国本土の現地サプライヤーから仕入れる場合に、あえて香港の子会社を仲介者とするケースです。

この場合は、香港の子会社に利益を残すことによりグループ全体での法人税支払いを少なくするという思惑や、ただ単に香港の子会社が赤字だからミルク補給をしてあげるという思惑のどちらかが絡んでいる場合が多いです。

 

このように色々なパターンはありますが、総じて信用面で仲介者がいてくれた方が安心という動機か、仲介者のバイングパワーを生かしたいという動機が多いように思います。

 

仲介貿易で使う2種類のL/C

とはいえ、仲介者がいたとしても始めはL/C取引から始めるケースが多いようです。

仲介貿易では2種類のL/Cを発行します。

2国間貿易では輸入者(買い手)が銀行にL/Cの発行を依頼しますが、仲介貿易ではそれに加えて仲介者も銀行にL/Cの発行を依頼します。

ここでは前者をL/C、後者をL/Cと呼ぶことにします。

それぞれのApplicantBeneficiaryは次のようになります。

 

2つのL/Cのうち、基準となるのは親L/Cです。

例えば、L/Cには有効期限がありますが、子L/Cの有効期限は親L/Cのそれ以前にする必要があります。

またL/Cの呈示期間も、子L/Cの呈示期間は親L/Cのそれよりも短く設定しないといけません。

そのため始めに親L/Cを発行し、その内容に合わせて子L/Cの条件を決めるというのが基本です。

 

オペレーションフローは以下のようになります。

  1. 輸出者は船積み後、仲介者に船積み情報をメール等で連絡
  2. 仲介者はその情報に基づき海上保険を付保
  3. 仲介者は子L/Cの条件に基づく書類を準備
    1. インボイスを切替(リインボイス、またはスイッチングインボイス注)という)。セラー、バイヤーを書き換えると同時に、マージンを乗せた請求額に変更 
    2. パッキングリストも切替。セラー、バイヤーを書き換えるだけ
    3. 2で手配した保険証書を添付
  4. 輸出国の銀行は輸出者から船積書類を買い取り、その書類を第三国の銀行に送付。同時に立替金をReimbursement bankへ請求
  5. 第三国の銀行は、船積書類が届いたら仲介者に通知。仲介者は決済後、船積書類を受領
  6. 仲介者は3で準備した書類を追加、もしくは差し替え、第三国の銀行に買い取り依頼
  7. 第三国の銀行は船積書類を精査の上、買い取り、輸入国の銀行(親L/C発行銀行)に送付
  8. 輸入国の銀行は船積書類を受領後、輸入者に通知し、手形の引き受けを要求
  9. 輸入者は手形を引き受け、船積書類を受領
  10. 手形の期日日に輸入者は決済を実施。輸入国銀行は第三国銀行に送金

注)具体的なリインボイス方法については、こちらの記事にまとめています。

【Form Dとは?】申請方法や三国間貿易/中継貿易に使う際の注意点をまとめてみた

 

以上のように始めはL/Cを使う決済でリスクを軽減しますが、継続的な取引になっていくに従いT/T決済(送金決済)に移行していきます。

その際の注意点については、こちらを参照下さい。

【T/T決済編】仲介貿易(三国間貿易)の注意点を決済方法別にわかりやすく