何でも免税で個人輸入できてしまう!?東南アジアの「マル秘」通関裏事情

Photo by Leone Venter on Unsplash

当ページのリンクには広告やプロモーションが含まれています。

個人輸入天国の東南アジア

日本で個人輸入して免税(関税+消費税)になるのは、海外での小売価格が16,666以下の商品です。

但し、ニット製品や革製品等はそれより少額でも課税されてしまいます。

関税や消費税を節税しながらお得に個人輸入できる条件をまとめてみた。

関税や消費税を節税しながらお得に個人輸入できる条件をまとめてみた。

ところが、東南アジアではこれらがすべて免税で輸入できると知ったら、あなたはどう思いますか?

個人輸入ならまだしも、転売して儲けようとしている方は色々なスキームを思い巡らせるのではないでしょうか。

勿論、すべての東南アジアの国々がそうなのではありません。

またこの国はダメ、この国はOKというように白黒はっきりできるわけでもありません。

ある国は楽勝、ある国は少し難しい、ある国はとても難しいというように、程度の差はあります。

これから書くことは程度の差こそあれ、多くの東南アジアの国々で起きている実情です。

 

領収書のない支払いが必要

輸入される貨物の関税や消費税の額を判定するのは税関です。

しかし、貨物そのものをチェックするのは大変なので、多くの場合は貨物に付いているインボイスを見て判定します。

インボイスには商品名や価格が書かれていますので、これに基づいて税関員は関税や消費税を決定して徴収します。

 

この作業、日本をはじめとする多くの国では公的なサービスで無料ですが、東南アジアの多くの国では有料です。

しかも領収書が出ません。

なぜ出ないのでしょうか?

それは国が公的なサービスとして定めていないからです。

「じゃあ、誰に対してお金を支払ってるの?」

ということになりますが、ご想像にお任せします。

 

対応に苦慮する物流会社

この領収書が出ない問題は、個人が利用する場合はそんなに問題にはなりません。

勿論、誰の懐に入っているのか分からないようなお金を支払うのは余計な出費で嫌なことですが、それだけです。

ところが、会社で支払う場合にはもっと重大な問題が発生します。

 

関税や消費税を支払うのは輸入者です。

この輸入者が会社である場合には会社が納税します。

しかし、輸入者である会社は多くの場合、物流会社に通関を代行してもらいます。

税関との手続きが複雑で面倒だからです。

従って、税関に前出の「領収書が出ない支払い」をするのは、多くの場合、物流会社になります。

 

領収書が出ないとどういうことになるのでしょうか?

会社の経費にできません

会社の経費、つまりコストとして計上するには、その証拠がないとダメです。

でないと、何でもかんでもコストにできてしまうので、いくらでも利益を少なくして法人税を削ることができてしまうからです。

このように絶対に欲しい領収書、物流会社はどうしているのでしょうか?

 

領収書を取得する裏技

一番簡単な方法は、領収書を出してくれる会社に通関を委託することです。

委託会社は税関にお金を払って、それに利益を乗せて物流会社に請求します。

その委託会社がその国で税務登録をしている会社であれば、正式な請求書や領収書を発行してくれるので、物流会社は晴れて領収書を手に入れることができるのです。

 

しかし、この方法には欠点があります。

余計なコストがかかることです。

国にもよりますが、委託会社に支払う余計な費用が、通関1件当たり数百ドルに上ることもあります。

 

この余計な費用を支払いたくない物流会社は、少し面倒ですが自社で通関をします。

「それじゃ、コストに計上できないんでしょ?」

と思うところですが、そこは税務の専門家と相談して、うまいやり方で回避しています。

 

しかし、税務的にギリギリOKといううまい方法で税務リスクを回避できたとしても、コンプライアンス上の懸念は残ります。

領収書の出ない私的な支払、これは賄賂とも言えます。

「いや、法的にできないことをできるようにしてもらうために渡すお金が賄賂で、法的に問題がないことを素早く処理してもらうために渡すお金は賄賂とは言わない」

と強弁することもできますがグレーです。

そのため、欧米のメガフォワーダー等のコンプライアンスにうるさい会社は、このような国々で自社通関をすることはありません。

日系は大手を含む多くの物流会社が自社通関をしていますが。

 

免税で個人輸入できる仕組み

さて本題に戻ります。

なぜ東南アジアの多くの国では免税で個人輸入できてしまうのでしょうか?

それは輸入通関を現地の通関会社に委託していることに関係しています。

 

クーリエ便、つまり国際宅配便を全世界で運営している大手は数社に絞られますが、いずれも欧米の会社です。

このような大会社はコンプライアンス上、このような国で通関を自社ですることはありえません。

自社のコントロールが効くような現地通関会社に委託します。

そして現地通関会社は税関とのコネクションを最大限に発揮します。

 

クーリエ便は少額の貨物を大量に素早く通関するため、税関から簡易な通関方法が認められています。

そしてこの簡易さがゆえに、いろんなことが可能になります。

 

日本では課税価格が16,666円以下の個人輸入貨物は免税という規定がありますが、東南アジアの国々でも額は違えど同じような規定があります。

そして、これはインボイス価格で判定されます。

個人輸入をする場合、発送者(海外の小売店)がインボイスを添付しますが、このインボイスは正しく記入されています。

ところが、現地通関業者はそのインボイス価格通りに申告せず、免税規定額以下の金額で申告します。

 

なぜ、そのようなことをするのでしょうか?

クーリエ便は遠方であっても数日で届きますね。

それが当たり前だと顧客も感じています。

この数日のうち、輸入通関に要するリードタイムは一瞬です。

それなのに通常の通関のように通関だけで何日もかかっていたら、誰もクーリエ便を頼まなくなってしまいます。

税関とのコネクションを使って現地通関会社にうまーくやってもらうことは、クーリエ会社にとっても顧客にとってもメリットなのです。

勿論、現地通関会社や税関にもそれなりの見返りがあります。

 

でも運の悪い人がたまに税関で貨物を止められて、高額な関税や消費税を徴収されることがあります。

たまにはそういう貨物もないと、不自然ですからね。

これが東南アジアの現状です。

詳しくはこちらも参照してみて下さい。

【少額貨物の免税制度】Vivobarefootをアジアで個人輸入したら無税だった

【少額貨物の免税制度】Vivobarefootをアジアで個人輸入したら無税だった