関税や消費税を節税しながらお得に個人輸入できる条件をまとめてみた。
最近は気軽に海外通販で海外の商品が買えるようになってきました。
管理人はアジアに住んでいますが、日本にいる身内の記念日にプレゼントを贈るのによく利用しています。
一方で海外の商品を輸入販売している業者も沢山います。
大規模な業者であれば、大きなロットで仕入れられるので有利な卸売価格で仕入れられたり、輸送でも規模の経済を働かせて安価にできるでしょう。
国内の倉庫保管費用や彼ら自身の利益を考慮しても、個人輸入より割安に商品を提供できるかもしれません。
しかし、個人輸入する方がお得なケースも多くあります。
その大きな要因の一つは税金です。
輸入に関わる税金には関税と消費税があります。
日本の実行関税率は単純平均で5.91%といわれていますが、アパレル商品は約10%、革靴は約30%等、商品によっては無視できない関税額です。
これに10%の消費税が乗ってくるので、合わせると数十%になることも少なくありません。
それにより、大ロット輸送による割安の輸送費のメリットが消えてしまうことも少なくないのです。
そこで、この税金メリットにより、国内で買うよりも割安に個人輸入できる可能性が高い条件をまとめてみました。
尚、個人輸入で運賃がお得になる条件について知りたい方はこちらをご覧下さい。
【比重と運賃負担力】海外通販で買うとお得な商品は何か考察してみた
少額輸入貨物の特権=簡易税率
商品分類が簡単
関税率はHSコードごとに決められています。
HSコードとは商品を分類するための世界共通の分類コードです。
例えばTシャツは6109.10で。基本税率や協定税率は10.9%です。
HSコードは1万個近くもあって、すべての商品はいずれかのHSコードに分類されます。
輸入されてきた商品をどのHSコードに分類するかは専門性が求められます。
しかし輸入する商品の価格が少額の時には、この分類がたったの7つに簡素化されます。
このような感じです。
税関HP 少額輸入貨物の簡易税率 より抜粋
これが少額輸入貨物の簡易税率と呼ばれるものです。
正確にいうと、輸入する商品の課税価格の合計額が20万円以下の場合に適用されます。
課税価格とは海外における仕入れ価格に、日本の港または空港までの輸送費と保険料を足した額です。
CIF価格と同じです。
この課税価格(CIF価格)に関税率を掛けた額が関税額になります。
この考え方はほぼ全世界共通で、この記事の中でも頻繁に出てきますので覚えておきましょう。
関税率も概ね低い
この簡易税率によるメリットは、関税率を決めるための分類が簡単なだけではありません。
関税率自体も一般税率より概ね低くなっています。
あくまでも「概ね」で、全部ではありません。
そのため、輸入する商品によっては、あえて一般税率による通関を選択する場合も稀にあります。
また、一般税率でもともと無税の商品は日本には沢山ありますが、これらの商品は簡易税率表に載っていません。
例えばパソコンは簡易税率表の1~6の分類に含まれていないので、7のその他に分類されて5%になってしまうように思えますが、無税です。
パソコンのように一般関税で無税の商品には簡易税率は適用されないようになっています。
超少額輸入貨物の王様特権=少額免税
関税/消費税ともに免税
以上が課税価格20万以下の少額輸入の場合の特権ですが、課税価格が1万円以下の場合は更に凄い特権があります。
なんと、関税/消費税ともに免税になるのです。
消費税も免税になるところがポイントです。
課税価格20万以下では関税が多少安くなりますが、消費税は10%そのままです。
課税価格1万円以下になると関税も消費税もゼロですので、かなりのメリットです。
ニット製品や履物等は適用除外
しかし、この王様特権には例外があります。
税関のHPには次のように書かれています。
税関HP 少額輸入貨物の簡易税率 より抜粋
なんと、革のバッグ、シューズ、ニット製品等、まさに海外通販で買いたいような商品は適用除外です!
ギフト用としてならいいよと書かれていますが、これは海外の知人からプレゼントとして贈られるような場合であって、海外通販で買って日本に送る場合はダメです。
要注意です。
個人使用目的なら更にお得
輸入には販売目的と個人使用目的があります。
個人輸入する人は個人使用目的ですね。
その場合には課税価格を低く抑えられます。
関税=課税価格×関税率
消費税=(課税価格+関税)×消費税率
ですので、課税価格が抑えられると関税/消費税ともに節約できます。
先ほど
課税価格=海外仕入れ価格+日本までの輸送費+保険料
という話しをしました。
これが、個人使用目的の場合は
課税価格=海外小売価格×0.6
となります。
輸送費と保険料の分だけ課税価格が低くなります。
なぜ海外小売価格を6掛けするのかというと、
海外仕入れ価格≒海外小売価格×0.6
の関係がだいたい成り立つと考えられているからです。
業者は卸売価格で大量に仕入れられて、その価格はだいたい小売価格の6掛けだろうという考えです。
確かにバイングパワーがあって大量に仕入れられる業者ならそうかもしれませんね。
しかし、日本で輸入販売している業者は大手ばかりではありません。
個人事業主として小規模にやっているケースも沢山あります。
そのような場合には、卸売価格と小売価格があまり変わらないかもしれません。
課税価格=海外小売価格×0.6
の特典によって、そのようにして小規模に輸入販売されている商品よりお得に買える可能性が高いです。
例えば、海外通販において20,000円で購入した化粧品を、DHLで配送してもらって輸送費が5,000円、保険料が2,500円だったとします。
販売目的の場合の課税価格は次のようになります。
課税価格=海外小売価格+日本までの輸送費+保険料
=20,000+5,000+2,500
=27,500円
これが個人使用目的の場合には、
課税価格=海外小売価格×0.6
=20,000×0.6
=12,000円
ですので半分以下になります。
また、
「海外通販で個人輸入するなら16,666円以内に抑えるといいよ」
とよくいわれるのは、その場合の課税価格が10,000円以内になり、先の少額免税の特典が得られるためです。
まとめ
以上をまとめると次のようになります。
個人使用目的の個人輸入であれば、①か②を目指せば税金節約効果により国内で買うよりお得になる可能性が高くなります。
- 1つのオーダーで商品価格が16,666円以内になるように抑える ⇒ 関税/消費税ともに免税 ⇒ 商品価格の20~30%に相当する税金の節約
- 1つのオーダーで商品価格が333,333円(200,000÷0.6)以内になるように抑える ⇒ 簡易税率適用+課税価格の低減効果 ⇒ 関税低減効果、消費税は発生
但し、革製品/ニット製品/シューズ等は少額貨物、かつ個人使用目的であっても免税にはならないため注意しましょう。
尚、海外旅行に行った時に携帯品や別送品として持ち込む際に適用される簡易税率も別に存在します。
こちらの方が、より大きな税金節約メリットがあります。
是非こちらも読んでみて下さい。
【携帯品/別送品の簡易税率】海外旅行で買うとお得な商品はこれだ!