【ガンマ分布の使い方】ヒヤリハットへの適用方法を具体例で解説します。

2023年10月18日

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ガンマ分布を使える具体例

仕事中にヒヤッとしたり、ハッとしたことはありませんか?

管理人も何度かありますが、他の人も同じ場所でヒヤリハットしている可能性は高く、そのようなヒヤリハットが日々いろんな場所で起こっていると言えます。

そして、そのうちの運の悪い誰かが重大事故に逢ってしまいます。

ハインリッヒの法則で、1 件の重大事故の裏に29 件の軽傷事故300 件の無傷事故(ヒヤリハット)があると言われています。

 

さてここで問題です。

ある物流センターでは月に平均1.5件のヒヤリハットが報告されています。

半年以内に軽傷事故が発生する確率はどれくらいでしょうか?

 

ガンマ分布とは?

一定期間に1回起こる事象がある時、それがα回起きるまでの時間の分布をガンマ分布と言います。

一定期間に1回起こる事象がある時、それが最初に起こるまでの時間の分布を指数分布と言いましたので、指数分布の拡張版とも言われています。

指数分布を使ってロングテール商品の欠品による機会損失を推定する

 

ガンマ分布は次式で表されます。

f(x) = λα xα-1eλx / Γ(α)

x:サイクル数

λ:サイクル内で事象が起こる平均回数

α:事象が起こる回数(確率を知りたい回数)

Γ(α):確率密度関数であるf(x)を積分して1になるようにするための係数

 

最後のΓ(α)ガンマ関数と呼ばれ、無限積分で定義されるため計算するのは大変です。

しかし、αが正の整数なら

Γ(α+1)=α!

と階乗の計算に簡略化されます。

 

ヒヤリハットにガンマ分布を適用する

今回の事例に当てはめてみましょう。

1か月のサイクルでヒヤリハットが1.5回起こっていますので、サイクル単位は月で、λは1.5です。

ハインリッヒの法則によると、ヒヤリハット300件に対して軽傷事故が29件ですので、300÷29=10.34件のヒヤリハットで1件の軽傷事故が起こると言えます。

ですので、αは10.34となります。

先ほどαが正の整数であればΓ(α)は階乗の形に簡略化されるといいましたが、この例ではαは整数ではありません。

従って、とりあえずΓ(α)は無視して計算してみます。

 

エクセルで計算するとこうなります。

 

グラフにするとこうなります。

 

グラフが粗くて頂点が分かりづらいのですが、大体6か月目から7か月目くらいで確率密度が最大になっていることが分かります。

上の計算ではΓ(α)を無視していますが、これは全体の確率の和を1に調整するための定数ですので、縦軸のスケールが変わるだけで、グラフの形は変わりません。

「それでは気持ち悪い」

という人は次に出てくるExcel関数を使えば、縦軸のスケールも正しいグラフを描くことができます。

 

ガンマ分布の累積分布関数はExcel関数で計算できる

指数分布と同じく、確率密度が分かってもあまり意味がありません。

確率密度関数を積分した累積分布関数が必要です。

指数分布は簡単に積分できましたが、ガンマ関数は難しいため、エクセル関数を利用します。

 

【GAMMA.DIST関数】

GAMMA.DIST(x , α , 1/λ , TRUE)

TRUEFALSEに変えると確率密度関数f(x)になります。これを使えばΓ(α)をきちんと考慮した確率密度を求めることができます。

 

この関数を使うと、エクセルでこのように計算できます。

 

グラフにするとこのようになります。

グラフから6か月以内に軽傷事故が発生する確率は37%であることが分かりました。