【ポアソン分布の使い方】在庫管理への適用方法を具体例で解説します。
ポアソン分布を使える具体例(在庫管理)
商品Aは1日に平均5個しか売れない死に筋商品です。
欠品率を5%以内にするためには、毎日何個の在庫を持っておけばよいでしょうか?
ポアソン分布とは?
ある期間にλ(ラムダ)回起こる事象がある時、同じ期間にx回起きる確率の分布をポアソン分布と言い、次式で表されます。
f(x) = λx e–λ / x!
ポアソン分布を在庫管理に適用してグラフを描く
冒頭の例に当てはめてみましょう。
1日に平均5個売れるので、λは5です。
ポアソン分布はλが決まればグラフが描けますので、エクセルで描いてみましょう。
1日に平均5個しか売れないので、多く売れたとしても15個くらいでしょう。
ですので、xは0から15で計算してみます。
グラフにするとこのようになります。
1日に平均5個売れますので、やはりその場合の確率が一番大きくなっていることが分かります。
でも18%弱です。
一方、10個売れる確率も1.8%あります。
ポアソン分布の累積分布関数はExcel関数で計算できる
知りたいのは、欠品する確率が5%以下になる在庫量ですから、累積確率を求めて95%になる個数を求めれば良さそうです。
累積確率は、このように簡単に計算できます。
この表から、xが8と9の間に累積確率が95%となる点があることが分かります。
でも、売れる個数は整数ですから、これ以上調べる必要はありませんね。
9個在庫しておけば欠品率5%以内に抑えられることが分かります。
以上のようにしてポアソン分布とその累積確率は求められますが、Excelでも関数が用意されています。
【POISSON.DIST関数】
POISSON.DIST(x , λ , FALSE)・・・確率
POISSON.DIST(x , λ , TRUE)・・・累積確率
この関数を使えば、もう少し簡単に計算できます。
ポアソン分布は、滅多に起こらない出来事であれば、この他にも色々な現象で成り立ちます。
プロ野球のホームラン数もポアソン分布に従います。
興味のある方は、こちらも是非覗いてみて下さい。
【バックスクリーン3連発】ポアソン分布で伝説が生まれた確率を計算してみた
おまけ:設定在庫にはリードタイムも考慮すべき
以上のように、9個在庫しておけば95%以上の確率で欠品しないことが分かりましたが、これは発注すればすぐに補充されるという条件付きです。
「すぐに」というのは、欠品しそうだと気づいて発注したら、1秒後にすぐに補充されるということです。
そんな理想状態はまずないので、現実的に考えてみましょう。
発注後、翌日納品ではどうでしょうか?
リードタイムは1日です。
ということは、すぐにでも納品して欲しいのに、最大1日待たないといけない可能性があるということです。
そのためには、日頃から1日分の在庫を余計に持っておく必要がありますね。
1日平均5個売れるので、9+5=14個の在庫を持っておけばよいことになります。
同様に、リードタイムが2日の場合は19個が必要な在庫数になります。
また在庫を決める時には「発注間隔」も考慮する必要があります。
興味がある人は、こちらも覗いてみて下さい。
適正在庫を維持するための発注数の決め方をわかりやすく【定期発注方式の場合】