【具体例でわかりやすく!】負の二項分布は何に使えるの?|営業成功確率を予測

2021年7月29日

物流会社Aは東南アジアに現地法人を開設しようとしています。

年商5億円の案件を3獲得することが条件です。

既に年商5億円を見込める案件を30リストアップしており、10%の確率で3件を獲得できると見込んでいます。

この稟議は通るでしょうか?

 

負の二項分布とは

同じことを繰り返し行うとき,k 回成功するまでの回数が従う分布を負の二項分布と言います。

これは次のように考えることができます。

確率 p で成功するような試行を繰り返し行うとします。

k 回成功するまでに x 回の試行が必要となる確率は、x-1回でk-1回成功した後のx回目に成功する確率なので、二項分布の式から、

= x-1 C k-1 p k (1-p) x-k

 

となり、これが負の二項分布の式になります。

 

冒頭の例に当てはめてみましょう。

1件の案件を獲得できる確率が10%で、3件の案件を獲得(成功)しなければいけないので、p=0.1k=3です。

エクセルで計算すると、このようになります。

 

これをグラフにするとこのようになります。

 

20くらいの案件にアプローチしたところで、3件獲得できる確率が一番高くなっていることが分かります。

30件の潜在顧客がいますので、稟議通りに実現できそうな感じがします。

 

負の二項分布の累積確率分布

しかし、これは確率密度であって、確率ではありません。

20件アプローチした段階での獲得確率を求めるには、横軸の0から20までを積分する必要があります。

これは負の二項分布累積確率分布と呼ばれ、エクセル関数に用意されています。

 

【NEGBINOM.DIST関数】

NEGBINOM.DIST(失敗数 , 成功数 , 成功確率 , FALSE)・・・確率

NEGBINOM.DIST(失敗数 , 成功数 , 成功確率 , TRUE)・・・累積確率

 

この関数を使うと、次のように計算できます。

 

累積確率をグラフにすると、こうなります。

 

これによると、20件の案件にアプローチしても、3件獲得できる確率は32%しかありません。

もし経営陣が80%以上の確率を求めるのでしたら、42の案件にアプローチする必要があります。

潜在顧客リストには30件しかありませんので、この稟議は却下されるでしょう。

 

まとめ

なぜ、このような結果になってしまったのでしょうか?

30件の案件があり、10%の確率で獲得できるのでしたら、それだけで3件は獲得できると思ってしまいます。

しかし確率論では、これだけでは不十分です。

たかが10%の成功確率では、不確実性が大きいと判断するためです。

 

試しに成功確率が50%だと、累積確率分布はこのようになります。

 

先ほどのグラフと比べて、急激に立ち上がっていることが分かります。

成功確率が50%あれば、不確実性が小さくなるためです。

 

このように平均値だけで判断するのは片手落ちです。

不確実性は分散、またはその平方根である標準偏差で表されます。

分散や標準偏差が大切な理由がこの例からも分かります。

 

>> 【物流数学の基礎】標準偏差がばらつきを表す理由