【具体例でわかりやすく!】分散は何に使えるの?|スーパーの一列待ちの効果を検証

2021年7月29日

スーパーのレジ待ちは、時に客をイライラさせます。

それぞれのレジに1列ずつ並ぶのがいいのでしょうか?

それとも、まとめて1列に並んで、空いたレジから順に進んでいく方がいいのでしょうか?

 

その答えは「平均」で考えると、いつまで経っても分かりません。

分散」で考える必要があります。

どういうことなのか、以下解説します。

 

「平均」で考える

ここで一つ仮定を置きます。

それは、それぞれのレジに別々に並ぶ場合、どのレジに並んでも待ち時間は同じという仮定です。

待つのが大好きという客はいないでしょうから、皆、抜け目なく空いた列を選んで並ぶものとします。

 

レジごとに並ぶ場合に、あなたの前に並んでいる人をP人、レジの数をRとすると、次のようになります。

 

一方、まとめて1列に並ぶ場合は次のようになります。

 

レジでの処理時間は客ごとに異なります。

そこで、客は全部でP×Rいて、それぞれの客には1からP×Rまでの背番号が付いていると想像します。

そして、背番号iの客の処理時間をTiとします。

また、Ti平均Tavg分散σ2正規分布に従うとします。

 

レジごとに並ぶ場合、あなたはどのレジに並んでも待ち時間は同じですので、レジ1の列に並びます。

すると、待ち時間はTavg×Pになります。

 

一方、まとめて1列に並ぶ場合の待ち時間はTavg×P×R÷R=Tavg×Pとなります。

 

つまり、平均待ち時間で比較すると、両者差がないことになります。

 

「分散」で考える

次に待ち時間の分散を比較してみましょう。

別々のレジに並ぶ場合は、1レジ当たりの処理時間は

T1+ T2+・・・+ TP

ですので、分散は

V(T1+ T2+・・・+ TP)

= V(T1)+ V(T2)+・・・+ V(TP)

になります。

>> 分散の加法性を平均値に適用する

 

V(Ti)はすべてσ2ですので、Pσ2になります。

 

一方、まとめて1列に並ぶ場合は、1レジ当たりの処理時間は

(T1+ T2+・・・+ TP×R) / R

ですので、分散は

V{(T1+ T2+・・・+ TP×R) / R}

= V(T1/R)+ V(T2/R)+・・・+ V(TP×R/R)

= (1/R2)V(T1)+ (1/R2)V(T2)+・・・+ (1/R2)V(TP×R)

= (1/R2){V(T1)+V(T2)+・・・+V(TP×R)}

= (1/R2) P×Rσ2

= P/Rσ2

となります。

 

つまり、まとめて1列に並ぶ方が、分散が1/Rだけ小さくなります。

分散の平方根が標準偏差なので、標準偏差で比べると(1/R)小さくなります。

 

例えば、レジが4台あるとします。

レジごとに並んだ場合は、1列に並んだ場合に比べて、待ち時間の分散が4倍、標準偏差が2倍になります。

下の図は、待ち時間の平均が15分の場合の比較です。

 

レジ待ち時間は両方ともばらつきますが、レジごとに並ぶと大幅に遅れる可能性があるということです。

逆に、大幅に早まる可能性もあるということにもなります。

 

つまり、レジごとに並ぶのは当たり外れが大きいギャンブルです。

そしてギャンブルに負けた客がイライラすることになります。

1列待ちには、そのようなギャンブル敗者を出さない効果があると言えます。

 

安全在庫への分散の応用例はこちら >> 拠点集約で在庫削減できるのか?【分散の加法性】