【PLC入門】電気配線を簡単にしてシーケンス制御をソフトで実現する
物流センターでは電動コンベア、自動仕分け機、昇降機などの自動機器が使われることがあります。
これらの制御には大抵、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)が用いられています。
シーケンサとも呼ばれます。
PLCは物流センターや工場のほとんどの自動機器の制御に用いられているだけでなく、今後ロボット化が進んでくると、ロボットに組み込まれたPLCと自動機器に組み込まれたPLCとが信号をやり取りして、自律的に動作する状況も生まれてきます。
このようにPLCは今も将来も制御装置の根幹ですので、概要を知っておくと何かと応用が利きます。
でもネットで検索しても専門的すぎてわかりにくいと思います。
そこで今回は、誰もが理解できるように噛み砕いて解説してみます。
PLCがないと電気配線が大変
ボタンを押したら照明が点灯する簡単な電気回路があります。
この回路だと、ボタンを押したらすぐに照明が点灯します。
次に、ボタンを押してから2秒後に点灯するようにするにはどうしたら良いでしょうか?
そのために、このようなタイマーがあります。
電気回路に繋いでダイヤルで2秒に設定しておけば、スイッチを入れてから2秒後に照明がつきます。
次に、人を検知してから2秒後に開く自動ドアを想定して下さい。
このようなセンサーを使います。
まずスイッチを入れてセンサーの電源をONにします。
そして、人を検知したらタイマーが作動し、2秒後にドアが開くようにします。
すると次のような電気回路になります。
これはまだ簡単な電気回路ですが、やりたいことが複雑になってくると配線のお化けになってきます。
また一旦配線してしまうと変更も大変です。
電気配線をソフトで実現するPLC
そこで、これらをコンピュータでソフト化(プログラム化)してしまおうと発想が生まれます。
今のパソコンはソフトで何でもできますが、昔は何か別のことをするたびに配線を切り替える必要がありました。
これと同じです。
タイマーや四則演算など、ソフトでできることはコンピュータにまとめてしまおうという発想でPLC(プログラマブルロジックコントローラ)が生まれました。
PLCを使うと、自動ドアの制御回路は次のようにスッキリまとまります。
PLC内部では次のようにプログラミングされています。
これはラダー回路と呼ばれていて、どこのメーカーのPLCでもほぼ共通のプログラミング言語です。
左右に縦の線がありますが、この間がつながれば電流が流れてタイマーや出力1がONすると考えて下さい。
2行になっていますが、1行目はボタンが押されていて(センサーの電源が入っていて)、かつセンサーが人を感知したらPLC内部のタイマーがスタートします。
そして2秒後にタイマーがupしたら、2行目でタイマーに連動したスイッチがONになって自動ドアを開けなさいという信号を出力1の端子から送るというプログラムになります。
このように、PLCはスイッチやセンサーなどからの信号を入力として取り込んで、それらの信号をソフトで自由に処理した後、モーターを動かしたり照明を点灯させたりするための信号を出力するという役割を果たしています。
PLCが得意なこと
シーケンス制御とフィードバック制御
PLCは別名シーケンサとも呼ばれます。
制御は大きく分けてシーケンス制御とフィードバック制御に分かれます。
シーケンス制御は予め決めた手順を忠実に実行する制御です。
例えば自動ドア、エレベータ、自動販売機などです。
フィードバック制御は、目標値に近づけるための制御です。
目標値との差に応じて、操作量を加減しながら目標値に近づける制御をします。
例えばエアコンや冷蔵庫の温度調整です。
全自動風呂もわかりやすい例です。
自動お湯張り機能にはオートとフルオートがありますね。
オートは予め決めた湯量を入れたら給水をストップするシーケンス制御です。
フルオートは液面をセンサーで見ながら決められた液面で給水をストップするフィードバック制御です。
PLCは元々シーケンス制御が得意
このように解説するとフィードバック制御の方が高級な感じがしますが、PLCが得意なのはシーケンス制御です。
長い間、PLCは簡単なシーケンス制御を高速に確実に行うことには長けていますが、複雑な制御は苦手とされていました。
ところが最近のPLCはフィードバック制御はもとより、無線通信やデータ収集などもこなすように進化してきています。
物流センターにおけるPLCの活用事例|シーケンス制御から無線LAN通信まで