過放電と過充電はなぜいけないのか?|そんな使い方では電池が死にますよ。

2021年7月29日

フォークリフトにはエンジン式とバッテリー式がありますが、近年ではバッテリー式が主流になってきています。

このバッテリーには寿命がありますが、使い方が悪いと寿命を早めます。

特に、過放電過充電が、その主な原因と言われています。

なぜ、過放電と過充電がいけないのでしょうか?

 

過放電がいけないわけ

バッテリー、つまり電池には一次電池二次電池があります。

一次電池は乾電池などの充電ができない電池、二次電池は充電して繰り返し利用できる電池です。

 

二次電池は、正極負極電解質により構成されています。

フォークリフトによく使われるのは鉛電池で、正極は二酸化鉛、負極は、電解質は希硫酸です。

 

これらをセットすると、鉛は硫酸とくっつき易い性質があるため、硫酸鉛になります。

そのため、負極には硫酸鉛が結晶としてくっつきます。

 

同時に、鉛は硫酸とくっつく代わりに、電子を放出します。

この電子が正極に引っ張られて移動します。

これが放電して電流が流れるという現象です。

 

電圧を加えて充電すると、逆に、負極にくっついた硫酸塩が電解質に溶け出します。

 

つまり、放電時には負極に硫酸塩がくっつき、充電することにより、基に戻るというサイクルを繰り返します。

 

但しこれは理想状態で、実際には基に戻らない硫酸塩が少しずつ蓄積していきます。

特に、長い時間放電したままの状態にしておくと、硫酸塩が固くなって、充電して溶けきれない量が増えてしまいます。

それが酷くなるとこのこのようになります。

 

このようになると、電流が流れにくく、蓄電量も減ってしまいます。

これがサルフェーションによるバッテリーの劣化です。

 

過放電がよくないのは、この理由です。

車に長い間乗らないとバッテリーが上がってしまい、充電ができなくなってしまうのも、同じ理由です。

 

過充電がいけないわけ

先に書いたように、充電時には電極に付いた硫酸塩が溶け出します。

しかし充電が終わりに近づいてくると、電解質中の水まで電気分解するという余計なことまで起こってしまいます。

すると、電解質の量が減ってしまいます

余りに減ってしまうと、電極がむき出しになる部分が出てきて、そこから腐食してしまうのです。

 

また、水が分解されると酸素と水素に分解されます。

むき出しになって腐食した電極から、何かのはずみで火花が出ると爆発する恐れもあります。

 

これらが、過充電がよくないと言われる理由です。

 

リチウムイオン電池では、、、

私たちが普段よく使う二次電池に、パソコンやスマホで使われているリチウムイオン電池があります。

この電池も過放電や過充電はよくないと言われていますが、理由は少し異なります。

 

リチウムイオン電池は、電極間をリチウムイオンが行き来することで、充電や放電を行います。

正極はリチウム金属酸化物で、負極は黒鉛でできています。

充電時には、リチウムイオンが正極から負極に移動し、放電時には逆のことが起こり、その過程で電気が流れます。

 

そして、これらの電極で蓄えられた電力を外に取り出すために、集電体として正極にはアルミニウム箔が、負極には銅箔が巻かれています。

銅は耐腐食性に優れた素材ですが、放電が進んで、両極間で生じる電圧がほぼゼロになってしまうと、電解質に溶出してしまう性質を持っています。

すると電解質ではいろいろな化学反応が起こって大量のガスが発生し、密閉された電池パックが膨らんでしまう現象が起こり大変危険です。

これが、リチウムイオン電池の過放電がよくない理由です。

 

また、先ほど充電時にはリチウムイオンが正極から負極に移動すると書きましたが、充電をやりすぎると、正極が劣化するとともに酸素も発生します。

すると、電解質の酸化分解により様々なガスが発生し、またもや電池パックが膨らんでしまう原因になります。

また、充電をしすぎると温度が上昇し、色々な劣化の原因にもなります。

これらが、リチウムイオン電池の過充電がよくない理由です。

 

リチウムイオン電池はパソコンやスマホなどの身の回りのものに使われるため、鉛電池と違ってメンテナンスフリーにする必要があります。

そのため、過放電や過充電を防止するためのコンピュータが、電池パックに内蔵されています。

しかしそれでも、充放電を繰り返しているうちにコンピュータの精度に狂いが生じてしまいます。

また衝撃にも弱く、完全な安全設計はコスト面からも難しいため、航空貨物としても未だに「危険人物」扱いされているのです。

 

まとめ

このように、過放電や過充電がよくないと言っても、電池の種類によりその理由は異なります。

個人的には、リチウムイオン電池のリスクが早く解消されて、要注意リストから外されることを願っています。

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