発電や送電の原理、三相電源のメリットとデメリットをわかりやすく解説します。

2023年10月13日

電気には、なぜ交流直流があるの?

家のコンセントと業務用コンセントはなぜ違うの?

単相三相って何?

などについて、電気国家資格を持つ管理人が、なるべく平易に解説します。

 

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発電の原理

電気が生まれる原理は簡単です。

鉄線を巻いたコイルに、磁石を近づけたり遠ざけたりすると、鉄線に電流が流れます。

これが電磁誘導と呼ばれる現象です。

下図では磁石のS極を近づけたり遠ざけたりしていますが、N極で同じことをすると逆向きの電流が流れます。

 

自転車のタイヤに付いている発電機が分かり易い例です。

昔の自転車の車輪にはこのような発電機が付いていました。

 

この発電機の軸には磁石が付いていて、その周りはコイルで覆われています。

車輪の回転で軸が回転させられることによって、磁石とコイルの間の距離が変わり、電流が流れるのです。

 

日本の発電所は火力、水力、原子力でほとんどを占めていますが、すべてこれと同じ原理です。

火力、水力、原子力の何であろうと、タービンを回して磁石を回転させているからです。

 

この場合、磁石のN極やS極が一定周期で動きますので、電流の向きも一定周期で変わります。

磁石を回転させるので当たり前ですね。

そのため、生み出される電流も次のように周期的になります。

 

これが交流です。

つまり、一部を除いて、電気は交流の形で生まれるのです。

 

送電の原理

発電所で生まれた電気は、遠く離れた消費者に送電されます。

遠くまで電線で運びますので、途中で電気の損失が発生します。

損失のない物理現象はないのです。

 

そしてこの損失は、電圧を大きくすればするほど小さくなります。

そのため、発電所からは数十万ボルトの超高電圧で送り出されます。

 

ところが余りに電圧が高いと危険ですし、私たちが家で使う電気は100Vですので、途中で4、5回変電されて住宅地に来る頃には6,600Vまで落とします。

ですので変電所はいろいろな場所にあります。

そして、変電の原理も発電の原理と同じです。

つまり、交流でないといけないのです。

これが電線を流れる電気が交流である大きな理由です。

 

三相電源のメリットとデメリット

私たちの家には6,600Vから更に変圧されて100Vの電気が来ています。

最近は広い部屋用に200Vのエアコンも普及していますが、2つの100Vのラインを併せて200Vにしていますので、大きな違いではありません。

そして、コンセントは基本的に2つ口です。

電流が送り込まれる口が1つと、帰る口が1つです。

たまに3つ口のコンセントがありますが、残りの1つはアース線がつながる口で、漏電防止用のおまけです。

これを単相電源と言います。

 

これに対して、工場や物流センターなどでは、三相電源が用いられます。

三相電源では電流が送り込まれる口が3と、アースの口が1つ、合計4つ口になっています。

 

なぜ電流を送り込む口が3つもあるのかと言うと、その方が単位時間当たりに沢山の電流を送り込めるからです。

 

このように高い密度の電流を送り込めるため、産業用機器のように大きなパワーが必要な機器には三相電源が用いられるのです。

 

先ほど、三相では電流が送り込まれる口が3つあると言いました。

単相では電流が送り込まれる口が1つと、電流が帰る口が1つでしたね。

なぜ三相には電流が帰る口がないのでしょうか?

 

それは3つの電流の合計が常にゼロになるからです。

下の図を見ていただけると分かると思います。

だから、電流を返す口が要らないのです。

 

また三相電源の電圧は200Vです。

電圧が2倍になると半分の時間で同じ仕事ができます。

更に三相にすることによって多くの電流を送り込めますので、より効率の高い仕事ができるのです。

 

また三相電源は電気代も安くなっています。

電柱に来ている6,600V三相電源からの変圧が簡単だからです。

いいことづくめのように思えますね。

 

ではなぜ一般家庭で三相電源が使われていないのでしょうか?

そんなに高効率なら家庭でも使いたいですよね。

でも家庭で使う電気機器はそこまでパワーが要らないので、三相電源を使うメリットがほとんどありません。

逆に電線をもう一本増やす手間とか、安全面対策を考えると、デメリットの方が大きくなってしまうのです。

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