分散の加法性で安全在庫が削減されることをモンテカルロシミュレーション

2022年11月6日

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分散の加法性はイメージしづらい

複数の在庫拠点を1か所に集約すると在庫が減ることは、イメージとしては分かり易いと思います。

しかし、これをきちんと説明できる人はあまりいません。

物流拠点集約で在庫削減できるのか?|【分散の加法性】を使ってわかりやすく検証!

で安全在庫が減る理由は、分散の加法性の定理によることを解説しました。

 

でも分散の加法性と言われてもイメージが湧きませんね。

平均の加法性は簡単にイメージできます。

在庫拠点1に在庫してある商品Aの日々の需要の平均が10で、在庫拠点2に在庫してある同じ商品のそれが20の場合、集約拠点での商品Aの需要の平均は30になることは簡単に分かります。

 

ところが、在庫拠点1に在庫してある商品Aの需要の標準偏差が5で、在庫拠点2に在庫してある同じ商品のそれが10の場合、集約拠点での商品Aの需要の標準偏差が11になることはイメージしにくいと思います。

なぜ11になるのかは、標準偏差分散に変換して考える必要があります。

標準偏差の二乗が分散なので、

52×102=125

分散125を再び標準偏差に直して

√125=11

となります。

イメージしにくいので、モンテカルロ法で実験してみましょう。

 

分散の加法性で安全在庫が減ることをシミュレーションしてみる

10,000日分の乱数でシミュレーション

先ほどと同じく、商品Aの需要について下記のようなケースを想定します。

在庫拠点1

平均=10、標準偏差=5

在庫拠点2

平均=20、標準偏差=10

 

まず、これらを設定値として正規分布の乱数を10,000個生成します。

>> エクセルを使って正規分布の【疑似乱数】を生成する方法を具体例で実演!

 

拠点1について10,000個、拠点2について10,000個、合計20,000個の正規分布乱数ができます。

これらが、それぞれの拠点での日々の需要となります。

拠点を集約すると日々の需要も集約されますので、隣の列に足された需要を計算しておきます。

拠点1、拠点2、集約拠点のそれぞれについて、10,000日の需要の平均、標準偏差、分散を計算すると次のようになります。

クリックすると拡大します

 

日々の需要を見ると結構変動していますが、10,000日の長い目で見ると平均も標準偏差も設定値付近に収束しています。(D3~E4セルとD5~E6セルが同じになっている)

また、両拠点の分散を足した値が集約拠点の分散に等しくなっていて、分散の加法性が成り立っていることが分かります。(青の点線で囲んだ部分)

従って、長い目で見た場合には、このようなモンテカルロ法により分散の加法性が成り立つことを示すことができます。

 

60日分の乱数でシミュレーション

しかし実務を想定すると、このシミュレーションは少し現実離れしていると言わざるを得ません。

安全在庫を設定するのに、過去10,000日分の需要データを参照することはあまりないからです。

 

そこで、仮に過去60日分の需要データの標準偏差から安全在庫を設定していると想定しましょう。

(安全在庫は需要の標準偏差に安全係数を掛けて求めるので、平均は関係しません。

安全在庫の役割りと標準偏差を使った計算方法をわかりやすく解説します。

 

先ほどと同様にシミュレーションしてみます。

違いは10,000日分ではなく、60日分にシミュレーション日数を減らしている点です。

 

両拠点の分散の合計は108ですが、集約拠点の分散は116になり、分散の加法性が成立していません。

誤差が8あります。

 

60日分の乱数×1,000回のモンテカルロシミュレーション

しかし、この結果は乱数を作り直すごとに変わります。

そこで、1,000回モンテカルロシミュレーションを行い、この誤差の分布がどうなるかを実験してみました。

ヒストグラムにすると、こうなりました。

 

平均は0.5で、±16の間に90%のデータが入ることが分かりました。

こういう時には誤差の絶対値で見るよりも、誤差を平均で割った標準誤差で見る方が傾向が掴みやすいので、標準誤差のヒストグラムも作ってみました。

 

平均は0.4%で、±13%の間に90%のデータが入ることが分かりました。

つまり、データ数が少なく60個しかないと、±13%くらいは分散の加法性から計算される理論値からずれるということです。

但し、この誤差は長い目で見るとゼロになります。

サイコロを60回投げても、それぞれの目が10回ずつ出ることは滅多にないことと同じです。

ですので、分散の加法性が成り立たないからといって慌てないようにしましょう。

 

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おまけ:本当はそんなに簡単な話しではない

以上が、物流会社コンサルティング会社の人達用の論理になります。

分散の加法性により安全在庫は確実に減るのだからと言って、倉庫集約プロジェクトに誘い込むのです。

でも、管理人が荷主の立場なら、その手には乗りません

 

なぜか?

 

それはこちらをご覧下さい。

拠点集約したのに在庫が減らない原因は共分散。その対策は平準化

 

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