物流料金設定に必須の加重平均の使い方を具体例を使ってわかりやすく解説
平均の取り方には何種類かありますが、物流で良く使う平均は次の3種類です。
今回は加重平均の使い方について解説します。
物流料金算定に必須の加重平均
あなたが物流会社の社員で、顧客の倉庫管理を請け負っているとします。
その顧客の貨物は3種類あり、大きさは様々です。
当然、大きいものの方が小さいものよりも広い保管スペースを必要としますので、サイズ別に保管料を設定したいと思っています。
ところが顧客からは支払い管理が面倒なため、貨物1個当たりの保管料をすべて一律に設定して欲しいと依頼されました。
あなたならどのように保管料を設定しますか?
それぞれの貨物のサイズは次の通りです。
貨物A:0.1m3
貨物B:0.2m3
貨物C:0.3m3
またそれぞれの貨物の単位保管コストを調べたら次のようになりました。
貨物A:3円/日
貨物B:6円/日
貨物C:9円/日
算術平均が使えない理由
3つの貨物のサイズの平均は0.2 m3で、ちょうど貨物Bのサイズですね。
だからと言って、すべての貨物について1個当たり6円/日のコストで考えておけばよかろう、と考えてはいけません。
なぜなら、貨物Cの保管物量が大部分で、貨物Aと貨物Bの保管物量は少ししかないのであればどうなるでしょう?
貨物1個当たりの保管コストは9円/日に限りなく近くなりますね。
なのに6円/日のコストで大丈夫と考えていたら、あなたの会社は赤字になってしまうかもしれません。
ですので、顧客には各貨物についての保管物量の見通しを必ず聞かなくてはいけません。
加重平均の計算方法
さて聞いたところ、毎日の平均保管物量は次のようになる見通しであることが分かりました。
貨物A:50個
貨物B:100個
貨物C:500個
ここで加重平均の出番です。
加重平均は次のように計算します。
(0.1m3×50個+0.2 m3×100個+0.3 m3×500個)/(50個+100個+500個)=0.27 m3
貨物のサイズと単位保管コストは比例していますので、0.27 m3の貨物の単位保管コストは次のように計算できます。
0.3:9=0.27:x
0.3x=9*0.27=2.43
x=8.1円/日
よって、加重平均貨物1個当たりの保管コストは8.1円/日になりますので、これに利益を載せた料金を設定することになります。
エクセルで加重平均を計算する
ちなみに加重平均はエクセルでは下記のように計算できます。
物量による重みをつけて平均を取るイメージです。
貨物Cの物量が多いため、その重みが効いて貨物Cの0.3 m3に引っ張られた値になります。
これに対して、最初に計算した平均は算術平均と言います。
算術平均=(0.1 m3+0.2 m3+0.3 m3)/3=0.2 m3
重みを付けない普通の平均です。
パレートの法則に従う場合には加重平均を使うべき
物流では多くの種類の貨物を扱いますが、物量が多い貨物はアイテム数で言うと少なく、大部分のアイテムは少ない物量であることがほとんどです。
これはパレートの法則、または8:2の法則とも言われます。
物量が多い上位たった2割のアイテムで、全体の8割の物量を占めるという意味です。
勿論、いつもそうなるわけではありません。
そのくらいの割合になるケースが多くみられるということです。
このようなケースは、算術平均よりも加重平均の方が実態をより良く反映できるのです。
ですから、物流の世界では加重平均が多く用いられるのです。