C&Fロジホールディングスの売上高/事業内容/強みを物流業界経験者がわかりやすく解説

2024年3月8日

名糖運輸とヒューテックノオリンの経営統合により誕生し、低温物流業界3位

C&Fロジホールディグスは、2015年に名糖運輸ヒューテックノオリンが経営統合して誕生した東証一部上場企業です。

2021年の売上は業界33位1,104億円です。

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低温物流業界に限ると、ニチレイロジグループ本社キユーソー流通システムに次ぐ3位です。

傘下の名糖運輸はメイトー牛乳で知られる協同乳業の子会社として1959年に設立され、1996年に株式公開を果たしています。

管理人は「おいしいコーヒー」の大ファンでよくお世話になりました。

 

ヒューテックノオリンは1953年に設立され、1995年に株式公開しています。

 

2015年の経営統合時の両社の売上高は、名糖運輸が485億円、ヒューテックノオリンが384億円です。

 

名糖運輸はチルド、ヒューテックノオリンはフローズン

以上のことから分かるように、両社はよく似ています。

しかも同じ低温物流業界ですが、名糖運輸はチルド、ヒューテックノオリンはフローズンとうまいこと棲み分けもできているため、かねてから経営統合の話しはあったようです。

それがとうとう実現したのは、荷主からの3温度帯対応への要請が高まったからです。

 

3温度帯物流は時代の要請

食品メーカーからのワンストップ対応要請

主な荷主である食品メーカーとしては、常温食品もチルドもフローズンも扱っているのに、製品保管をお願いしている物流会社が別だと出荷指示が面倒です。

また、出荷先によっては数量がまとまらないのに、別々の倉庫からばらばらに配送するのはいかにも効率が良くありません。

荷主がこの辺りをシビアに選別する時代になっていたのです。

 

大手物流会社による低温物流市場への進出

その背景には、大手物流会社による低温物流市場への進出があります。

低温物流は常温物流に比べて倉庫や配送車両の設備投資コストがかかるため参入障壁が高く、昔は限られたプレーヤーしかいない業界でした。

ところが低温物流業界の高い収益性に目を付ける大手物流会社が出てきました。

 

流通のフルランイン化

また、単に収益性が高いだけでなく、流通が集約されてきたことも大手が目を付けた理由です。

小売りや卸が集約されて大規模化すれば、それまで常温やチルドやフローズン別に分かれていた会社がフルライン化する方向に行きますし、ドラッグストアが食品を扱うなど業態の垣根が崩れたことも3温度帯一括物流が求められる動機になります。

 

医薬品物流のアウトソーシング化

また2002年の改正薬事法成立後に新規参入が増えた医薬品物流でも低温物流が求められることも、大手の参入が増えた理由の一つです。

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このような時代の背景がC&Fロジホールディングスの誕生を後押ししました。

ちなみにC&FはChilled and Frozenの略で、会社の目指す方向性を明確に示しているといえます。

 

セグメント別の事業内容

C&Fの事業は大きくTC事業DC事業に分かれます。

チルド中心のTC事業

TC事業とは顧客の商品を倉庫に在庫せずに、複数のメーカーの工場や倉庫から送られてくる商品を納品先ごとに細かく仕分けて共同配送する業務が中心です。

商品グループでは、日持ちのしないチルドが中心です。

 

フローズン中心のDC事業

DC事業とは顧客の商品を倉庫に在庫した後、TCと同じように複数メーカーの商品を詰め合わせて共同配送する業務です。

商品グループでは、賞味期限の長いフローズンが中心になります。

 

売上規模ではTC事業:DC事業の比率が2:1営業利益では1:1になっています。

DC事業の方が利益率は高いようです。

2020年度決算説明資料より抜粋

 

業態別の事業内容

メーカー/卸向けの共同配送事業

一方、業態別の売上規模では共同配送が全体の6割近くを占め、コンビニエンスストア物流/チェーンストア物流/問屋物流で残り4割近くを占めています。

共同配送にはメーカーから卸やチェーンストアのDCへ配送するメーカー物流、卸から小売りへの卸物流の両方が含まれています。

メーカー物流が中心と思われますが、有価証券報告書によると三菱食品が最大顧客で全体の13%を占めていますので、卸物流もそれなりの規模があると思われます。

 

チェーンストア向けのコンビニエンスストア物流/チェーンストア物流事業

コンビニエンスストア物流/チェーンストア物流は、チェーンストア向けの専用物流センターの運営や店舗への配送を行っていて、TC(在庫を持たない通過型センター)が中心のようです。

2020年度決算説明資料より抜粋

 

2015年に名糖運輸とヒューテックノオリンが経営統合して誕生して以来、業績は順調に拡大しています。

直近こそコロナ禍の影響で売上は微減だったものの、営業利益/経常利益/純利益ともに一貫して伸びています。

 

新規ドメインである医薬品/化学品物流の伸びが今後のカギ

今後の課題として、中期計画では新たな事業ドメインの創出を掲げています。

具体的には医薬品化学品です。

この分野で食品の低温物流で培ったノウハウを生かそうという戦略です。

 

商品価格が低く物流費負担能力が低い食品業界で培ったコスト管理能力は、医薬品や化学品業界でも強いコスト競争力を発揮できると思われます。

また、チルドは特に日付管理温度管理の厳格さが求められるため、そこで培われたオペレーション能力も医薬品物流で求められる厳密なロット管理にも生かされるでしょう。

 

一方で、医薬品物流には従来からのプレーヤーに加え、大手物流会社も続々と参入しています。

また、化学業界は荷扱いの特殊性があることと、資本関係の強い物流会社に委託する傾向があり、余程大きなメリットを提供できない限り切り替えてもらうのは難しい業界でもあります。

このような中で、どのような切り口で差別化を図っていくのか注目されます。