丸全昭和運輸に応募する前に知っておきたい会社の強みと弱みを徹底解説!

丸全昭和運輸は1931年創業で、近年3PLに力を入れている総合物流企業です。

1963年には東証一部に上場しています。

2021年3月期の売上高は1,211億円で、物流業界では28です。

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京浜工業地帯で創業したため、化学鉄鋼など重厚長大メーカーの顧客が中心です。

主な顧客は昭和電工JFE スチール富士フィルム三菱商事ライオン旭ファイバーグラスニチアス三井化学日本電産等となっています。

第119期ブリッジレポートより抜粋)

 

とはいえ、その後、建設機械食品農薬農産物業界にも顧客層を広げ、有価証券報告書によれば「顧客との取引関係の維持、強化による事業拡大等を目的」として株式を保有している会社としてサカタのタネやまびこクボタLIXIL理研ビタミンツムラミヨシ油脂カネカ等が載っており、これら顧客の貨物も扱っているようです。

 

丸全昭和運輸のキーワードはメーカー物流子会社のM&A自社アセット型3PLアジア物流機工エンジニアリングの4つです。

順に見ていきましょう。

 

メーカー物流子会社をM&Aするメリットは業界ノウハウの取得と、ベースカーゴの確保です。

物流子会社を買収したからといって親会社の物流を独占できるわけではありませんが、競合より遥かに有利なポジションに付けることは確かですし、何年間は取引を保証してもらえるのも一般的です。

また、そのベースカーゴを利用して、その業界の共同物流プラットフォームを作ることも可能です。

丸全昭和運輸によるメーカー物流子会社買収の歴史は次の通りです。

 

2002年 昭和電工の子会社である昭和物流と昭和アルミサービスの株式を取得し、グループ会社化

2004年 ライオン流通サービスの子会社であるスマイルラインの株式を取得し、グループ会社化

2015年 日本電産系列の日本電産ロジスティクスの株式を取得し、グループ会社化した上で丸全電産ロジスティクスと社名変更

 

中でも今後の発展性が期待できるのは日本電産との取引でしょう。

大手電機メーカー系列の物流子会社のほとんど物流大手に買収されましたが、成長力では日本電産が図抜けています。

丸全昭和運輸の社是「熱と努力」は、仕事への熱い思い入れと、それをやり遂げる不断の努力が如何に大切であるかということを伝える創業者の思いがこもっています。

一方、日本電産は「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」が創業者の思いですので、共鳴するものがあるのでしょう。

這ってでも日本電産に付いて行くのではないでしょうか。

 

自社アセット型3PLについては今までもそうでしたが、今後もそれを加速していくようです。

2020年3月期から22年3月期を対象とする7次中期経営計画では、連結ベースで売上高1380億円、そのうち約1/4に当たる300億円3PL事業で賄うことを表明しています。

ターゲットとする業界は、引き続き化学建材が中心と堅実です。

これらの業界は荷扱いの特殊性が求められるため、意外と参入障壁が高いからです。

 

また丸全昭和運輸がこだわるのは、あくまでもアセット型ということです。

ノンアセット型には最適地に倉庫を持てるというメリットはありますが、それ以外は営業力のある物流会社であればアセット型の方がコスト面では有利です。

空スペースができてもすぐ埋められるからです。

また丸全昭和運輸のように自社で国内輸送ネットワークが確立されていて、自社倉庫がその輸送ネットワークに組み込まれていれば、効率の良い物流ネットワークも差別化になります。

丸全昭和運輸は国内だけでなく、アジアでもアセット型の3PLを推進していくとしています。

 

そのアジア物流は、少し後発気味ながら2010年から拠点の拡充を進めています。

 

2010年 UNITHAI LOGISTICS (VIETNAM) CORPをベトナムに設立

2012年 PT. Maruzen Samudera Taiheiyoをインドネシアに設立

2014年 Maruzen Showa(Thailand)Ltd.をタイに設立

2015年 MARUZEN SH LOGISTICS SDN. BHDをマレーシアに設立

2016年 丸全昭和(韓国)株式会社を韓国に設立

2019年 MARUZEN DENSAN LOGISTICS VIETNAM CO., LTD. ハノイ支店をベトナムに開設

 

業務内容は日本で付き合いのある顧客の要望に応じたフォワーディングが中心でしたが、今後はベトナムマレーシアを中心にアセット型3PL用の施設に投資していくことを第7次中期経営計画で表明しています。

特にベトナムは、米中貿易摩擦を受けて日系メーカーなどが中国に取って代わる進出先と位置付けているため有望と見ているようです。

2019年に開設したハノイ支店は日本電産用の倉庫を運営しています。

ホーチミンでも日本電産用の倉庫を運営しているため、併せてベトナムの物流ネットワークを拡充していくものと見られます。

 

4つめの機工エンジニアリングは、主に工場の新設や移転に伴う生産設備の輸送や据付です。

化学や鉄鋼メーカー等の工場は、自動車や電機メーカー等組み立て型の工場(Factory)と違って、プラント(Plant)と呼ばれます。

原料を化学反応させて全く違う物質に変えることと、様々な産業に使われる素材を作るところに特徴があります。

このようなプラントの使われる生産設備は巨大で、輸送や据付工事にも専門性が要求されます。

丸全昭和運輸は化学や鉄鋼メーカーの物流請負から始まった会社ですので、長年の経験に裏打ちされた専門性があります。

 

物流会社としては工場新設時に漏れなくついてくるこの案件を獲得して良い評価を得ることは、その後の物流業務を請け負う上で大きなアドバンテージになります。

それだけではありません。

一般の物流業務と違って誰でもできる仕事ではないため、競合も少なく利益率も高くなります。

この分野はプロジェクトカーゴと呼ばれますが、物流各社が手間がかかってもこのメニューを外せない理由です。

物流大手も皆やっていますが、丸全昭和運輸や山九鴻池運輸などは経験と実績が多いため一日の長があります。

 

業績も好調のようです。

売上高と経常利益はリーマンショック後から一貫して伸びています。

第119期ブリッジレポートより抜粋

 

また注目すべきは、ここ数年一貫して伸び続けている営業利益率です。

2021年度の通期では8.2%で、これは物流業界7位です。

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でも、これだけで驚いてはいけません。

従業員一人当たり営業利益で見ると、物流業界4位です。

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第119期ブリッジレポートより抜粋

 

今後の課題は、化学や鉄鋼などの重厚長大メーカーの国内物流に依存した事業構造からの転換でしょう。

アジアへの進出は2010年から本格化させましたが、海外売上高比率は5%未満で、利益貢献には時間がかかると思われます。

海外売上高比率は早期に10%へ引き上げる目標を置いていますが、自社アセット3PLにこだわると大変な時間を要するでしょう。

フォワーディングも物量がモノを言う世界ですので、大手に対抗するのは難しいでしょう。

海外を伸ばすのなら有力地場企業を買収して、うまく経営する手腕が必要になると思われます。

 

折角、日本電産系列の物流会社を買収したのですから、その爆速経営に付いて行ければ大きな成長も見えてくると思います。

日本電産は多くのメーカーを買収して日本電産の名を冠した会社として再生させてきましたが、それらの物流はバラバラで、NIDECグループとしての規模の経済を活かしきれていません。

これをまとめて効率化する提案には大きなビジネスチャンスがあります。

強烈な個性を持った創業者同士が共鳴し合えれば、夢物語ではないと思うのですが。