横浜冷凍の売上高/事業内容/強みを物流業界経験者がわかりやすく解説します
売上の3/4は食品販売事業、冷蔵倉庫事業は1/4
横浜冷凍(ヨコレイ)は食品販売事業と冷蔵倉庫事業を手掛ける東証一部上場企業です。
このうち食品販売事業が75%を占めますが、冷蔵倉庫の設備能力ではニチレイロジに次ぐ国内2位の大手です。
ヨコレイNOTE 第73期報告書より抜粋
直近2期の決算ではコロナの影響で大幅減収減益となっていますが、これは食品販売事業が外食需要の消滅による影響を受けたためで、冷蔵倉庫事業は増収増益をキープしています。
食品販売事業
ヨコレイNOTE 第73期報告書より抜粋
冷蔵倉庫事業
ヨコレイNOTE 第73期報告書より抜粋
本記事では冷蔵倉庫事業だけにフォーカスします。
(物流会社売上ランキング2021年版 30位)
冷蔵倉庫事業の内容
国内2位の冷蔵倉庫事業
横浜冷凍は2020年時点で国内48拠点、冷蔵倉庫の収容能力は100万トンを越えていて、150万トンの収容能力を持つニチジレイロジに次ぐ国内2位です。
倉庫事業の売上は280億円ほどしかなく、2,000億円以上あるニチレイロジと開きがありますが、これは横浜冷凍が倉庫業務のみに特化しているためです。
物流コストの中では輸配送コストが大部分で6割近くを占め、倉庫コストの占める割合は2割弱と言われています。
そのため売上を見ると小さく見えますが、冷蔵倉庫業に限っては大手です。
48拠点ある冷蔵倉庫は3つに類別されます。
- 主要港で輸入品を扱う港湾型
- チェーンストア向けの物流センターを請け負う物流型
- 漁港や農産物の産地で水産物や農産物を扱う産地型
港湾型と産地型は在庫回転の低い保管機能がメインの倉庫でしたが、最近は荷主の要望が高度化して在庫回転率の高いオペレーションを求められることが増えていて、機能面での差がなくなってきているようです。
ヨコレイは冷蔵倉庫の老舗だけあり、作業品質に重きを置いています。
それは現場の作業員は原則として正社員に限っているところに表れています。
また冷蔵倉庫は通常40~50年ほどで立て替え、築年数の平均は約25年と言われていますが、ヨコレイでは10年ほど早く立て替えています。
これも作業品質を優先していることの現れです。
また建て替えが早いということは、オゾン層を破壊するフロンから自然冷媒への切り替えへも早くなります。
国内営業用冷蔵倉庫としては初めて太陽光発電による電力会社への売電を行うなど、環境対応でも進んでいると言えます。
タイでは日系冷蔵倉庫最大手
ヨコレイは1989年からタイで冷蔵倉庫事業を行っています。
日系の冷蔵倉庫事業としては1988年の川崎汽船に次ぐ早さで、今ではバンコク近郊に5か所、10万トンの収容能力を持っていて、日系最大手になっています。
日本向けの輸出用にタイ産の鶏肉やエビなどの冷凍食品やアイスクリームの保管を担う他、国内向けの内需も取り込んでいます。
尚、日本では倉庫業務に特化していて輸配送は行っていませんが、タイでは日系の日新と合弁会社を立ち上げて低温配送事業も行っています。