ニッコンホールディングスの売上高/事業内容/強みを物流業界経験者がわかりやすく解説
11期連続増収増益の高収益企業
ニッコンホールディングスの前身は日本梱包運輸倉庫で、2015年に持株会社に移行しました。
社名から想像できる通り、1953年に本田技研工業のオートバイの梱包請負から業務を開始し、その後、大型トラックによる輸送、倉庫の順に業務を拡大させてきました。
その後も、輸送機器メーカーの物流業務を中心に業務を拡大し、2009年3月期から2020年3月期まで11期連続で増収増益を達成しています。
2021年3月期はコロナ禍の影響で減収減益になりましたが、それでも営業利益率10%をキープしています。
物流会社としては高収益企業です。
売上高ランキングでも1,825億円で、19位につけています。
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アセット戦略で高い営業利益率
2021年3月期のセグメント別売上高は次のようになっています。
テスト事業は、本田技研工業などから車両試験を請け負っているようです。
梱包、運輸、倉庫を自社コントロール
高い営業利益率を維持できている要因として2つ考えられます。
一つ目は、梱包・運輸・倉庫をすべて自社でコントロールできることです。
倉庫会社が祖業の物流会社は、倉庫は自社でやるけども運送は傭車(アウトソース)であることが多くなります。
この場合、何かしらの理由でトラックが遅れて倉庫の荷受け時間に間に合わない時、トラックは翌朝まで待つか、超過料金を払わないといけません。
ところが、自社トラックの場合は柔軟に対応できます。
全社最適を考えると、倉庫スタッフの残業代をケチってトラックを翌朝まで待たせるよりも、残業してでもさっさと荷受けをしてトラックの回転率を上げた方が遥かに得だからです。
梱包も同じです。
倉庫を自社で運営する会社でも梱包はアウトソースすることが多いのですが、梱包・運輸・倉庫すべてを自社で行っていれば、何かと融通が利くのです。
7割の倉庫が自社保有
二つ目は、倉庫の自社保有率が高いことです。
国内外合せて240万m2ある倉庫のうち、7割近くが自社物件です。
そのうち約半数が償却済みのため、倉庫事業の収益率は否が応にも高まります。
B to BからB to Cへのシフトが課題
このように収益力が高く盤石のように見えますが、長期的には課題も抱えています。
事業構成が製造業向けのB to Bに偏っているため、新興国との競争やネット通販の伸びによるB to Cの拡大の影響が避けられません。
これに対応するため、ニッコンでは2020年にまず混載輸送サービス「N Logi(エヌロジ)」のサービスを開始しています。
これは、対象貨物をあえて他社がやりたがらないような「長尺・長大貨物」「重量貨物」「裸物」「小口ロット」にターゲットを絞った、主要24都道府県向けの混載輸送サービスです。
ニッコンは収益力が高い割には運賃が安いことで知られており、自社便比率も高いため輸送品質も高いと言われています。
自動車メーカー向けの輸送で鍛えられた高い輸送品質を活用して、どのようにB to C向けのサービスを開発していくのか今後注目です。